感度解析について 香田正人、本間俊充
  あらまし 感度解析における代表的な方法論や基本的な概念・考え方について、現代的アプローチに基づく新しい技術展開を解説する。本稿第1節では感度解析技術において基本となる考え方について述べる。第2、3節では各々、局所的感度解析(ローカル感度解析)とグローバル感度解析の代表的な方法論や基本的な概念・考え方について解説する。
  キーワード ローカル感度解析、感度微係数、汎関数微分、グローバル感度解析、FAST、Sobol’法
     

FAST手法による感度解析について

劉 峭
  あらまし 計算モデルの入力変数に不確実さが存在する場合に、入力変数の不確実さがモデル中で伝播し、モデルの出力変数の不確実さを引き起こす。FAST(Fourier Amplitude Sensitivity Test)手法は、モデルの入力変数の不確実さによる出力変数の不確実さへの影響を評価する手法であり、グローバル感度解析としては最初に提案されたものである。本稿では、FAST手法について解説する。
  キーワード グローバル感度解析、FAST手法、フーリエスペクトル、感度指標
     
Global感度解析−Sobol'法 本間俊充
  あらまし 分散に基づくグローバル感度解析の代表的手法の一つとして、Sobol’法について述べる。Sobol’法の感度指標は、分散低減に基づくパラメータの“重要度指標”を一般化したもので、入力変数の不確実さに起因するモデル出力の不確実さ、すなわち分散に対する入力変数の寄与を表す。本稿では、その数学的定式化と実際の計算手順及び適用例について解説する。
  キーワード グローバル感度解析、分散低減、Sobol’法、総感度指標
     
グローバル感度解析に対するカオス力学系やメタモデルの視点
香田正人
  あらまし グローバル感度解析について、カオス力学系やメタモデルとの関連を述べる。本稿前半の第1−第3節ではFAST(Fourier Analysis Sensitivity Test)とカオス力学系との関連を論じる。後半の第4−第6節では、メタモデルとの関連からHDMR(High Dimensional Model Representation)を取り上げた後、分散分析(ANOVA)のHDMRへの適用によるグローバル感度解析ANOVA-HDMRを解説する。
  キーワード グローバル感度解析、FAST、カオス力学系、メタモデル、ANOVA-HDMR
     
ゆらぎによる制御とその確率感度解析 ライプニッツ賢治、若宮直紀
  あらまし 科学技術の分野において、ノイズは制御を妨げ、不要なものとして除去されてきた。しかしながら、システムの様々なレベルで存在するノイズを完全に取り除くことは不可能であり、また、設計時の予測を上回るノイズはシステムの不安定性をもたらす。一方、ノイズやゆらぎに満ちた自然界において、生物システムは、自身もゆらぎつつノイズを活用することによって、環境に適した安定的で望ましい状態を達成し、維持している。そこで近年、ノイズを除去するのではなく、積極的に活用することによって、環境変動に対する適応性、頑健性の高いシステム制御を実現するというアプローチが注目されている。本稿では、ノイズやゆらぎを生かした制御について、特に、アトラクタ選択、アトラクタ摂動、アトラクタ重畳と呼ばれる制御モデルを中心に、その概要を述べ、変分的手法によりノイズに対する確率感度解析を行う。
  キーワード ゆらぎによる制御、アトラクタ、確率感度解析、生物に着想を得たネットワーク制御
     
金融工学におけるMalliavin解析を用いた感度計算 A. Kohatsu-Higa、安田和弘
  あらまし Malliavin解析は1980年代に確率解析の分野で理論的発展を遂げてきた。その後、金融工学・数理ファイナンスの分野で応用されるようになった。本稿ではP. L. Lions等による1999年の論文以降広く研究されている、Malliavin解析を用いたファイナンスにおける感度解析(Greeks計算)について紹介する。
  キーワード 金融工学、Malliavin解析、Greeks、リスク管理