定例部会案内

第273回部会
日時: 平成30年2月17日(土) 14:00〜17:00
場所: 東京工業大学 大岡山キャンパス 西8号館(W)809号室
テーマと講師
  1. 利用者の戦略を考慮した待ち行列モデルについて
    佐久間 大(防衛大学校)
    サービスシステムにおける混雑現象と客の意思決定(戦略)の相互依存性について,2つの待ち行列モデルを例に挙げて考察を行う.1つ目としては,到着客の母集団サイズが確率変数(特にポアソン分布に従うものとする)であり受付期間のある単一窓口待ち行列を考える.ここでは,各客が期待待ち時間の最小化を目的としている場合に,均衡を実現する到着時点分布がどのように得られるかについて述べる.そして,サービス時間のばらつきが大きいほど,均衡における客の期待待ち時間を増加させる傾向があることを示す.2つ目としては,窓口数に不確実情報を含む待ち行列について考える.ここで,到着客は期待系内滞在時間の上限としてある目標値をもっているものとし,それが達成されないと見込める場合には,到着を諦めるものとする.このとき,窓口数の不確実情報が客の到着率にどのような影響を与えるのかを考察し,客の到着率を最大化するような窓口数分布が複数存在しうることを示し,その形状についても述べる.
  2. 確率セルオートマトンモデルによるセルロースの酵素分解ダイナミクスの解明
    江崎 貴裕(JSTさきがけ)
    セルロースを効率的に分解して糖に変える技術がバイオマスの有効利用のために注目されている.特に,酵素を利用する手法が有力視されているが,これを用いたとしても分解反応が非常に遅いということが課題となっている.一方,最近になって一分子を観測する実験技術の向上により,この酵素がどのようにセルロースを分解するのかが明らかになってきた.しかし,その結果から示唆される分解速度は,実験で得られているものの数百倍にも達していることが分かった.すなわち,一分子の働きと生化学反応としての無数の分子達の集団的な働きの間に大きな乖離が存在している.本研究ではこの集団的な働きを理解するため,一分子の働きを確率セルオートマトンモデルで表現し,それらのダイナミクスをシミュレートした.その結果,生化学実験で得られた実験を定量的に再現することに成功した.さらにこのモデルを利用することにより何故,数百倍もの分解速度の差が生じるのかについて説明することができた.加えて,このモデルは反応を高速化するためには酵素をどのように変化させればよいのかについても示唆を与える.

  3. 2017年度待ち行列研究部会「研究奨励賞」受賞者

    2017年度待ち行列研究部会「研究奨励賞」受賞者は以下の方々に決定しました.
    【受賞者(敬称略)および対象論文】
    木村 雅俊(大阪大学)
    レベル依存する G/G/1 型マルコフ連鎖における条件付き定常分布の誤差評価付き数値計算法

    矢島 萌子(東京工業大学)
    マルコフ型集団到着過程と裾の軽いサービス分布を持つ無限サーバ待ち行列の安定性の十分条件


    (2018年1月26日更新)