社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会
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JORSJ 55-1, JORSJ 55-2, JORSJ 55-3, JORSJ 55-4

JORSJ 55-1

1.
捜索資源の線形効果及び線形制約を考慮した探索ゲーム
宝崎 隆祐 (防衛大学校)
 

探索理論は,オペレーションズ・リサーチの分野では伝統的なテーマである.この論文では,捜索者と目標をプレイヤーにもつ捜索配分ゲーム(SAG)と呼ばれる2人ゼロ和の探索ゲームを論じている.SAGでは捜索者は捜索資源を捜索空間に投入し目標を探知しようと努め,目標は逃避しようとする.そこで使用される実際的な捜索資源には,例えば夜間の捜索救難で使用される照明弾のように,効果の時間持続性と距離到達性といった性質があるものの,このような資源特性はこれまで論じられてこなかった.これらの特性を一般化すると,目的関数に関する資源量の線形式として表現できる.また資源の使用制約に関しても,太陽エネルギーを利用する資源は一定期間後に効果を回復できるが,これも線形の条件式で表現できる.この論文では,これまで着目されてこなかった資源特性に焦点をあて,SAGの均衡解を極めて一般的に導出する手法を提案し,探索問題へのSAGの適用範囲を拡大した.
2.
密輸者情報の秘匿された密輸ゲーム
宝崎 隆祐 (防衛大学校)
 

ここで扱う密輸者情報の秘匿された多段階の密輸ゲームでは,取締者及び密輸者は,それぞれ限られた数のパトロール及び密輸の機会をもつ.取締者は密輸者を拿捕することで利得を得,密輸者は密輸成功により利益を得るが,支払はゼロ和である.従来の密輸ゲームでは,敵対者の過去の戦略情報が知られるか,秘匿されるかの仮定により,情報取得に対称性のある完備情報ゲームが議論されてきた.しかしここでの問題は,取締者情報がオープンである一方,密輸者情報は秘匿されているという,情報取得に非対称性のある不完備情報ゲームであり,これに対し完全ベイジアン均衡解の導出手法を提案した.ステージ数が3のケースについては解析的な解を導出し,一般ケースについては数値解法を提案して,プレイヤーの最適戦略と取締者の合理的な信念を明らかにした.また,情報秘匿の無いモデルとの比較により,密輸者情報の価値についても考察を行っている.
3.
離散ヘッセ行列と凸拡張可能性について
森口 聡子 (産業技術大学院大学)
室田 一雄 (東京大学)
 

整数格子点上で定義された関数に対して,その凸拡張可能性と,ヘッセ行列の離散版として定義される『離散ヘッセ行列』の性質について,様々な議論がなされている.離散凸解析の枠組みでは,凸拡張可能な離散L凸/M凸関数が『離散ヘッセ行列』のある組合せ的性質により特徴付けられることが知られている.凸拡張可能性と離散ヘッセ行列の関係は,一般的に,十分に理解されておらず,その議論には混乱があり,誤った主張が存在している.本論文では,(1)凸拡張可能な関数の離散ヘッセ行列は各点で半正定値とは限らないこと,逆に,(2)離散ヘッセ行列が各点で半正定値であっても,凸拡張可能でない関数が存在することを,例を構成することにより示した.(2)を示す例の構成には,半正定値計画(SDP)とSDPを解くソフトウェアを用いた.
4.
緩和除数方式と議席の偏り
一森 哲男 (大阪工業大学)
 

緩和除数方式という新しい配分方式のクラスを提案する.この方式の特徴として,議席の総数が増加すると,大州と小州の間の議席の偏りが減少し,最終的には偏りがなくなってしまう.何十年間にもわたり論争となっているヒル方式とウェブスター方式は,この新しい配分方式のクラスに属するので,十分大きな議席総数では,どちらの方式も大州と小州間に議席の偏りがない.しかしながら,本論文で行った数値実験は,議席の総数が200から43,500に増加する範囲では,ウェブスター方式が偏りのない状態に到達するのが一番早いことを強く示唆している.
5.
DEAにおけるパレート効率的フロンティアへの最短距離に基づく非効率尺度
安藤 和敏,甲斐 充彦,前田 恭伸,関谷 和之 (静岡大学)
 

Briecは生産可能集合の境界上への最短距離に基づく非効率性尺度が単調性を満たすことを明らかにした.その一方で,生産可能集合の境界上への最短距離ではなく,生産可能集合の効率的フロンティア上への最短距離に基づく非効率性尺度で単調性を満たすものが存在するかどうかは未解決問題であった.本研究は,この未解決問題を否定的に解決した.さらに,評価対象となる入出力とその自由処分により得た活動領域から効率的フロンティア上への最短距離を非効率性尺度として新たに定義することで,この新しい非効率性尺度が単調性を満たすことを示す.新しい非効率性尺度を用いて,プログラムコンテストでのグループ順位決定の事例を紹介する.
6.
2次の効用関数を用いた最適配分問題およびそのグラフカット問題との関係
塩浦 昭義,鈴木 瞬也 (東北大学)
 

本論文では,組合せオークションから生じる財の最適配分問題について議論する.この最適配分問題では,入札者の効用関数値の合計を最大化するように財を配分することが目的である.本論文では,効用関数が2次の集合関数で与えられる場合の最適配分問題について考える.2次の効用関数は簡潔な表現をもつ一方で,十分に一般的なクラスであることが知られている.本論文の主目的は,2次の効用関数に関する最適配分問題の計算困難性を明らかにすることである.とくに,効用関数が劣モジュラ及び優モジュラである場合について考え,そのような場合に対するNP困難性を示すと共に,多項式時間厳密解法や近似解法を提示する.これらの結果を導くために,最小(最大)カット問題や多重カット問題のようなグラフカット問題と財の配分問題を明らかにする.
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JORSJ 55-2

1.
日本株式市場におけるコントラリアンリターンに対する格付の影響
佐々木 大輔, 宮﨑 浩一 (電気通信大学)
 

本研究では,日本株式市場を対象として,格付と短期コントラリアンリターンとの関係について分析し,主に次の4つの分析結果を得た.第一に,短期コントラリアンリターンは主に敗者ポートフォリオから生成される.高格付では不況時において短期コントラリアンリターンが大きく,低格付では好況時にモメンタムリターンが確認される.このことは,自己相関係数,ボラティリティ,相互自己共分散によって裏付けることができる.第二に,格付を説明する各ファクターだけを用いても短期コントラリアンリターンを説明できないが,格付は短期コントラリアンリターンと関係性が高い.第三に,コントラリアンリターンは,低格付に関しては主に相互自己共分散によって生成され,高格付では主に自己共分散によって生成される.第四に,高格付のコントラリアンリターンはマーケットリスクをコントロールしても有意に確認される.
 
2.
自重を考慮したテンセグリティのトポロジー最適化
寒野 善博 (東京大学大学院・情報理工学系研究科・数理情報学専攻)
 

テンセグリティ (tensegrity) は,直線状の圧縮材(ストラット)と引張材(ケーブル)がピン接合されてできる構造物の一種である.特に,圧縮材どうしは接続されておらず,引張材に張力を導入することで安定な釣合状態となることがテンセグリティの特徴である.任意の形状がテンセグリティとして実現できるわけではないため,これらの条件を厳密に満たす新しいテンセグリティを設計することは容易ではない.本論文では,自重に対するテンセグリティの剛性を最大化するトポロジー(部材の接続関係)を求める最適設計問題を考え,この問題が混合整数計画問題に帰着できることを示す.この手法では,テンセグリティのトポロジーを予め指定する必要がない.このため,混合整数計画問題を解くことで実際にさまざまなテンセグリティが得られることを,数値実験により示す.
3.
k次近隣距離の近似と立地分析への応用
宮川 雅至 (山梨大学)
 

本研究では平面上の任意の地点からk番目に近い点までの距離(k次近隣距離)に対する単純な近似式を与える.距離の計測には,連続平面上の直線距離と直交距離を用いる.そして,k次近隣距離がkの平方根に比例し,点の密度の平方根に逆比例することを示す.また,近似の精度を規則的およびランダムな点分布パターンを用いて検証する.さらに,近似式を道路距離と比較することで,連続平面上の近似式が道路網上のk次近隣距離を見積もる際に役立つことを確認する.最後に,立地分析への応用として,いくつかの施設が閉鎖された場合の,利用者から最寄りの開いている施設への平均距離を求める.

4.
セミ・マルコフ変調ポアソン過程から生成されるランダム・ショックの累積分布評価及びCDO価格計算への応用
黄 嘉平 (アムステルダム自由大学)
住田 潮 (筑波大学)
 

近年,Collateralized Debt Obligation (CDO) と呼ばれる金融派生商品が研究者や実務者の間で注目を集め,その取引高も急速に増加しつつある.しかし,その無裁定価格を求めるためには,対象となる損失の累積の分布を有限時刻tにおいて評価する必要があり,その困難さにより,価格評価法に関する研究は未だ限定的なものである.本論文では,セミ・マルコフ変調ポアソン過程を用いてCDOの価格評価モデルを構築し,新たなCDO価格計算法を提案する.著者達の過去の研究で得られた結果及びラゲール変換法を用いて,各時刻における累積損失額分布を数値的に求めるアルゴリズムを開発し,これによって対応するCDOの価格評価が可能となる.アルゴリズムの効果を示すため,幾つかの数値計算結果を示す.
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JORSJ 55-3

1.
プリント回路基板製造におけるハンド型ロボットの反復的経路最適化問題に対する定数近似アルゴリズム
軽野 義行 (京都工芸繊維大学)
永持 仁,Aleksandar Shurbevsk i(京都大学)
 
本論文では,プリント回路基板製造工程におけるハンド型ロボットの経路最適化問題を取り扱う.この製造工程では,複数の支持ピンを用いて,電子部品が埋め込まれる際に生じる基板のたわみを抑制している.回路を破壊しないように,支持ピンの配置は基板ごとに定められている.そのため,次に製造する基板に合わせて,一台のハンド型ロボットが支持ピンの配置替えを行う.支持ピン配置替えの反復回数は,製造しなければならない基板の数と同じである.ここでは,ロボットの総移動距離が最小になるよう,プリント回路基板の製造順序とロボットの移動経路を求めることが問題である.本論文では,この反復的経路最適化問題が定数近似可能であることを示す.
2.
純戦略Nash均衡存在のための必要性と十分性
竹下 潤一 (独立行政法人産業技術総合研究所)
川崎 英文 (九州大学)
 
本論文では,標準形n人非協力ゲームを扱う.ゲーム理論において,混合戦略まで考えた場合は任意のゲームがNash均衡を持つこと.また,純戦略に限って考えた場合はNash均衡が常に存在するとは限らないことは有名な事実である.それを踏まえ,ゲームが純戦略Nash均衡を持つための十分条件について考察された研究が少なからず存在する.しかし,それらの研究は必要条件までは考察されていない.そこで,本論文では,2つ成果を報告する.1つ目は,我々の研究成果である最適反応の単調性に基づく十分条件を拡張する.2点目は,純戦略Nash均衡が存在する場合,最適反応が単調性を持つか,その均衡が孤立していることを示す.
3.
複数回のデータ送信で消費する電力量を考慮したセンサネットワークトポロジの数理計画法による構成手法
佐々木 美裕 (南山大学)
古田 壮宏 (東京理科大学)
石崎 文雄,鈴木 敦夫 (南山大学)
 
無線センサネットワークを用いて継続的にデータを基地局に送信する際,各センサの電力消費を抑え,センサネットワークの寿命を延ばすようにネットワークトポロジを構築することが重要である.ここで,「センサネットワークの寿命」は,センサのデータ送信回数の総和で定義する.いくつかのトポロジ構築法が過去に提案されているが,多くは各センサが1回の送信(シングルラウンド)で消費する電力量のみを考慮している.本研究では,複数回の送信(マルチラウンド)で消費する電力量を考慮してトポロジを構築する問題を多次元ナップサック問題として定式化し,この問題を反復して解くことによってセンサネットワークの寿命を求める方法を提案する.計算実験の結果により,既存の手法と比較して,センサのデータ送信回数総和が約1.4~1.5倍になることが確認できた.
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JORSJ 55-4

1.
現金自動支払機の普及と統合DEA手法による銀行の効率性評価に関する研究
Using a Hybrid Systems DEA Model to Analyze the Influence of Automatic Banking Service on Commercial Banks’ Efficiency
Chin-wei Huang (Taiwan Shoufu University), Yung-ho Chiu (Taiwan Soochow University), Chen-hsien Lin (Taiwan Shoufu University), Hsiang-his Liu (National Taipei University, Taiwan)
 
This study develops a Hybrid Systems DEA model to analyze the influence of automatic service on bank performance. There are two assumptions seldom used in prior banking studies that are introduced into the DEA model. The first assumes that automatic service inputs do not change proportionally with branch service inputs. The second assumes banks that employ different operating types have different frontier technologies. The inefficiency sourced from excess inputs in automatic and branch service is evaluated through the empirical model. Results show that the excess input in automatic service is the cause of lower efficiency in financial holding banks when compared to independent banks. On the other hand, increasing inputs in automatic services do not result in a negative impact on independent banks. The finding also indicates that the cross-learning initiatives between the two groups is effective in reducing the inefficiency caused from excess automatic service but ineffective for excess branch service.
2.
純緩和除数方式に関する2つの重要な性質
一森 哲男(大阪工業大学)
 

本論文誌の第55巻1号で提案した緩和除数方式に関して,2つの重要な性質を追加している.緩和除数方式はひとつのパラメータで特徴づけされているが,その値は任意の実数値を取るため,緩和除数方式は無限の配分方式を含むことになる.本論文では,パラメータの,異なる2つの値に対する緩和除数方式が同一の配分ベクトルを与えるのであれば,その両者間の値を取るパラメータに対する緩和除数方式もすべて,これと同一の配分ベクトルを与えることを発見した.すなわち,パラメータの値の変化と共に連続的に配分ベクトルが変化するのではなく,パラメータの値から作られる区間ごとに(つまり,離散的に)配分ベクトルが変化することを見つけた.どのパラメータの値に対する緩和除数方式が最善であるかを決めることを目的とすれば,この性質は,その目的に大いに役立つと期待できる.さらに,以前の論文では,すべての緩和除数方式の大州・小州への偏りが,議席総数を大きくするにつれて,減少することをシミュレーションにより明らかにしたが,それと深く関わる事柄を明らかにした.すなわち,議席の総数を増加すると,すべての緩和除数方式がウェブスター方式に近づくことを理論的に証明した.これで,ウェブスター方式が最善の方式である可能性がますます大きくなった.

3.
ファジイ多目的最適化問題に対するTOPSISに基づいたエントロピー正則化法
A TOPSIS-Based Entropic Regularization Approach for Solving Fuzzy
Fung-Bao Liu and Cheng-Feng Hu (I-Shou University, Taiwan)
 
In this work, a version of the technique for order preference by similarity ideal solution (TOPSIS) with entropic regularization approach is developed for solving the fuzzy multi-objective nonlinear programming (MONLP) problems. Applying the basic principle of compromise of TOPSIS, the fuzzy MONLP problem can be reduced into a fuzzy bi-objective nonlinear programming problem. Moreover, following the “tolerance approach,” the solution of the fuzzy bi-objective nonlinear programming problem can be obtained by solving a min-max problem. An entropic regularization approach is then applied for solving such a problem. Computational results are provided to illustrate the validity and efficiency of the proposed method.
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イベントカレンダー
2017年第3回ORセミナー
日程:
2017年10月7日(土)
場所:
㈱構造計画研究所
シンポジウム
2017年秋季シンポジウム
日程:
2017年9月13日(水)
場所:
関西大学

2018年春季シンポジウム
日程:
2018年3月14日(水)
場所:
東海大学
研究発表会
2017年秋季研究発表会
日程:
2017年9月14日(木)-15日(金)
場所:
関西大学

2018年春季研究発表会
日程:
2018年3月15日(木)-16日(金)
場所:
東海大学