社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会
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JORSJ 58-1 JORSJ 58-2, JORSJ 58-3, JORSJ 58-4,

JORSJ 58-1
*サーベイ論文の特集号であり,4編の論文が掲載されています.

1.
マルチリーダー・フォロワーゲーム:モデル,方法,応用
胡 明 (京都情報大学院大学)
福島 雅夫 (南山大学)
 
マルチリーダー・フォロワーゲームは,経済学や工学などさまざまな分野で興味深い応用をもつ,ゲーム理論の重要なモデルである.このサーベイ論文では,まずゲーム理論における基本的な概念であるナッシュ均衡とそれに関連する事柄を説明したあと,マルチリーダー・フォロワーゲーム,均衡制約をもつ均衡問題,および不確実性下でのナッシュ均衡問題とマルチリーダー・フォロワーゲームなど,ナッシュ均衡問題のいくつかの拡張モデルを提示する.つぎに,電力市場と通信市場におけるマルチリーダー・フォロワーゲームの応用を紹介する.さらに,ある特別なクラスのマルチリーダー・フォロワーゲームおよび不確実性下でのマルチリーダー・フォロワーゲームを変分不等式として定式化し,それらの均衡解を計算する方法について述べる.償還条項付有価証券とは,投資家(買い手)だけでなく発行人(売り手)にも契約解消権を付与した金融商品である.従来の金融資産評価モデルでは,資産価格の変動を記述するために独立で同一な確率分布を仮定する場合が多い.しかし,現実には経済状況等の変化とともに資産価格の確率分布そのものが変化すると見做した方が自然であろう.本研究では,資産価格の確率分布および利得関数が有限状態マルコフ連鎖によって変動する価格過程の下で償還条項付有価証券の評価を考察する.有価証券を巡る売り手と買い手間のゲームを離散時間マルコフ決定問題として定式化し,一般的な利得関数の下で償還条項付有価証券の価値に関する単調性と各プレーヤーの最適行使戦略を明らかにした.さらに,利得関数をアメリカン型のコールとプットオプションに特定し,それぞれの場合について各プレーヤーの最適行使戦略の定性的な性質を明示した.数値計算では,2状態の場合についてアメリカンプットにおける各プレーヤーの最適行使境界を視覚的に示した.
2.
非線形半正定値計画問題に対する数値解法
山下 浩 ((株)NTTデータ数理システム)
矢部 博 (東京理科大学)
 

線形半正定値計画(SDP)問題は非常に重要な凸計画問題であるが,より複雑で非凸・非線形なモデルを取り扱うために,今日では非線形SDP問題も注目されるようになってきた.これらの問題には,BMI制約付き問題などの制御問題,構造最適化問題など実用上重要な問題が多々含まれている.そのため,この問題を効率よく解くための実用的な数値解法の発達が強く望まれている. 非線形SDP問題の数値解法の研究はまだ発展途上であるが,本論文では,現時点で注目されている3つのカテゴリーについて数値解法とその収束性を紹介する.1つ目は拡張ラグランジュ法に基づく解法である.2つ目は逐次線形化法に対応するものであり,逐次線形SDP法などを紹介する.最後は,主双対内点法に関する研究について触れる.

3.
数格子点上の効用関数に対する粗代替性と離散凹性に関するサーベイ
塩浦 昭義 (東北大学)
田村 明久 (慶應義塾大学)
 
不可分財の効率的な配分は,数理経済学やオペレーションズ・リサーチに
おける重要な問題である.離散財の効率的な配分においては,ワルラス均衡の概念が基本的な役割を果たしている.ワルラス均衡が存在するための十分条件として,効用関数に対する粗代替性の概念がKelsoとCrawford (1982) により提案された.それ以来,粗代替性の様々な変種や離散凹性の概念が提案され,様々な経済モデルにおけるワルラス均衡の存在性を示すために使われてきた.本論文では,Kelso と Crawford の粗代替性およびその変種の関係をサーベイすると共に,離散凹性とのつながりについて議論する.また,これらの概念の様々な特徴付けや性質を紹介する.
4.
待ち行列とそのネットワークの定常解析のための拡散近似:総合報告
宮沢 政清 (東京理科大学)
 
待ち行列理論において,拡散過程は近似のために広く使われている.その近似方法はいろいろあるが,本論文は待ち行列やそのネットワークを表すモデル列の極限を使った拡散近似法について論じる.この極限は確率過程列や定常分布列の弱収束を使って得られる.この方法は今日でも活発に研究され,数学的に高度化してきたため,全貌がつかみにくい.本論文は理論の背後にある考え方を解説し,全体像を明らかにする.このように拡散近似法の研究は進んでいるが,その応用については多くの課題が残されている.特に極限として得られる確率過程や定常分布は多次元であり,2次元の場合を除くとその解析的な特性がよくわからない.これらの課題への取り組みのために,定常分布に焦点を当て,原点に戻って拡散近似生成のメカニズムを明らかにする.
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JORSJ 58-2

1.
負荷分散に偏りのある並列プログラムにおけるバリア同期の除去手法の確率モデルによる解析
米澤 直記 (帝京平成大学)
加藤 憲一,紀 一誠 (神奈川大学)
和田 耕一 (筑波大学)
 
バリア同期は,並列プログラムにおいて,データの生産と消費の順序を保証するために挿入される命令であるが,実行時のオーバーヘッドが大きいことが知られている.このオーバーヘッドを軽減するために,我々の先行研究ではバリア同期の除去アルゴリズムを提案し,実験的に評価した.その結果,プロセッサ間の負荷分散がより不均衡な並列プログラムに対して提案アルゴリズムがより効果的であることがわかったものの,負荷分散の度合いと効果の関係を定量的に評価することは課題として残されていた.本論文では,並列プログラムの各部分の実行時間を確率変数として表現し,バリア同期を部分的に除去した状況での全体の実行時間を求める手法を提案する.4種類の典型的なプロセッサ間の依存パターンに対して,モンテカルロ法を用いて評価した結果,理論的な結果と実験的な結果との整合性を確認した.
2.
空売り有価証券の最適買戻時刻
Optimal Timing for Short Covering of an Illiquid Security
Tsz-Kin Chung, Keiichi Tanaka (Tokyo Metropolitan University)
 

We formulate a short-selling strategy of a stock and seek the optimal timing of short covering in the presence of a random recall and a loan fee rate in an illiquid stock loan market. The aim is to study how the optimal trading strategy of the short-seller is influenced by the relevant features of the stock loan market. We characterize the optimal timing of short covering depending on the conditions that lead to different costs and benefits of keeping the position. Depending on the parameters, not only a put-type problem but also a call-type problem emerges. The solution to the optimal stopping problem is obtained in a closed form. We present explicitly what actions the investor should take. A comparative analysis is conducted with numerical examples.

3.
多面体的L凹関数に対する最急上昇アルゴリズムの単調性
藤重 悟 (京都大学)
室田 一雄 (東京大学)
塩浦 昭義 (東北大学)
 

最小費用流問題に対し Hassin (1983) が提案した双対アルゴリズムでは,双対変数を最急上昇方向へ繰り返し更新する.離散凸解析においては,最小費用流問題の双対問題は,多面体的L凹関数の最大化として定式化できることが知られており,Hassinのアルゴリズムは多面体的L凹関数に対する最急上昇アルゴリズムと見なすことができる.本論文では,多面体的L凹関数に対する最急上昇アルゴリズムのもつ様々な単調性を明らかにした.まず,最急上昇アルゴリズムがHassinのアルゴリズムと同様の単調性を持つことを示した.また,任意の初期点から出発したときに,最急上昇アルゴリズムが初期点から「最も近い」最適解を求めるとともに,アルゴリズムで生成された解の軌跡が初期点から最適解への「最短路」であることを証明した.

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JORSJ 58-3

1.
干渉制約下でのルーティングアルゴリズム
石原 響太 (NTTデータ数理システム)
小林 佑輔 (東京大学))
 
本論文は,平面に辺の交差なく埋め込まれたグラフにおいて,「パス同士の距離が十分離れていなければならない」という制約の下で,指定された頂点対を繋ぐパス集合を求める問題について議論するものである.この問題は,グラフアルゴリズム分野において盛んに研究されている点素パス問題の一般化となっており,理論的に重要な問題である.また,パス同士が離れているという制約は,パス同士の干渉を考慮した場合に自然なモデル化として現れる制約であり,通信ネットワークやVLSI設計などへの応用が期待される.本論文の研究成果は,頂点対の数が定数であるという仮定の下で,この問題のいくつかの場合に対して多項式時間アルゴリズムを与えたことである.また,この理論的な成果に加え,この問題の整数計画問題への定式化を与え,計算機実験の結果も報告している.


2.
確率的打ち切りを考慮した射撃ゲーム―サーベイと応用―
齋藤 靖洋 (広島大学)
土肥 正 (広島大学)
 

確率的打ち切りを考慮した射撃ゲームは,不確実な状況下における最も基本的なタイミングゲームとして,様々な研究が行われてきた.本論文では,Teraoka (1983) および Baston and Garnaev (1995)が提案した2つのゲームを統合した上で,各プレイヤーが持つ情報並びに戦略の異なる5つのゲームを提案する.本論文で扱うゲームのうち,4つは非ゼロ和2人ゲームとして、残りの1つはシュタッケルベルグゲームとして定式化される.それぞれのゲームにおける最適戦略(ナッシュ均衡戦略およびシュタッケルベルグ戦略)と期待利得を解析的に導出する.さらに,SilentプレイヤーとNoisyプレイヤーから構成される通常の射撃ゲームとシュタッケルベルグゲームの類似性について言及する.

3.
計算の効率性に着目した周回トリップチェインのための空間相互作用モデル
本間 裕大 (東京大学)
 

本研究では.複数回のトリップによって構成される“周回トリップチェイン”のための空間相互作用モデルを提案する.また,提案した周回トリップチェインのための空間相互作用モデルの,効率的な計算法についても議論する.これらの数学的展開を通し,周回トリップチェインのためのエントロピーモデル,マルコフモデル,そして非集計行動モデルの繋がりも明らかとなる.この一連の議論は,本研究で提案するエントロピーモデルの理論的な位置付けを明確にするのみならず,従来から用いられてきたマルコフモデルや非集計行動モデルに対する新たなる知見も与える.

4.
サプライチェーンネットワークにおける安定性:離散凸解析によるアプローチ
池辺 淑子 (東京理科大学)
田村 明久 (慶應義塾大学)
 
近年,Ostrovsky はGale and Shapleyの安定結婚モデルを非巡回的な有向グラフ上に拡張し,同側代替性と対側補完性と呼ばれる条件が成り立つ下では安定な割当てが常に存在することを示した.本論文ではOstrovskyのモデルおよび同側代替性,対側補完性の概念を,整数ベクトル上で定義された効用関数を用いて一般化する.また,一般化されたモデルにおいて安定性の特徴づけを与え,拡張された同側代替性,対側補完性が成り立つ下では,安定な割当てを必ず求めるアルゴリズムを提案する.さらに,離散凸解析の基本的概念であるM凹関数のバリエーションである歪M凹関数がこれらの条件を満たすことを示し,効用関数がすべて歪M凹関数である場合に提案したアルゴリズムの時間
計算量を評価する.
5.
L凸関数とM凸関数の多面体的関数による近似について
室田 一雄 (東京大学)
 

離散凸解析においては,離散変数の関数と連続変数の関数の両方に対して,L凸関数とM凸関数の概念が定義されている.多面体的L凸/M凸関数は,離散変数と連続変数のL凸/M凸関数を結ぶものと位置付けられ,とくに,ある種の整数性をもつ多面体的L凸/M凸関数は,離散変数のL凸/M凸関数と同一視することができる.本論文では,多面体的L凸/M凸関数のそれとは異なる意味づけとして,連続変数の任意の閉L凸/M凸関数は,多面体的L凸/M凸関数によって,任意のコンパクト集合上で一様に近似されることを示す.その証明には,L凸関数とM凸関数がFenchel-Legendre変換の下で共役関係にあることを利用する.

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JORSJ 58-4

1.
状態に依存した資産配分のための条件付きVaRを用いた多期間確率計画モデル
平野 慎也 (岡三アセットマネジメント)
枇々木 規雄 (慶應義塾大学)
 
様々な実務制約のもとで動的投資政策の決定をするためには,多期間最適化問題を解く必要がある.枇々木(2001, 2003, 2006)はシミュレーション・アプローチの枠組みで条件付き意思決定が可能な混合型最適化モデルを開発し,投資比率を富の階段関数によって表現している.本研究では高屋・枇々木(2012)と同様に混合型モデルに状態依存関数のアイデアを導入する.まずはじめに,混合型モデルを利用して,条件付きVaRをリスク尺度とした多資産配分問題に対する状態依存関数を定義し,それはVaR点で区分されるV字型関数形となることを明らかにした.そして,多期間で状態に依存したV字型の区分線形モデルを提案する.数値分析として,5資産・3期間問題を解き,区分線形モデルと混合型モデルを比較する.リスク回避係数と自己相関に対する感度分析も行い,モデルの特徴を調べる.
2.
準非拡大写像の不動点集合上の平滑凸最適化に関する並列最適化アルゴリズム
飯塚 秀明 (明治大学)
 

ネットワーク化されたあるシステムを管理・運営するオペレータとそれに参加する複数のユーザが固有の目的関数と制約集合をもつとき, それらの制約集合の共通部分上で目的関数の総和を最小化するための並列最適化手法を提案する. 本手法は, 固有の目的関数が微分可能な凸関数で, かつ, 固有の制約集合が準非拡大写像と呼ばれる非線形写像の不動点集合として表現可能なときに適用できる. 制約集合への射影が 容易に計算できないような複雑な制約集合であっても, その集合と一致するような不動点集合をもつ準非拡大写像を利用することにより, 本手法は複雑な凸最適化問題をも解決することができる. 本論文では, 定数ステップ幅と減少ステップ幅に関する本手法の収束解析を与え, 本手法のネットワーク帯域幅割り当てへの応用についても議論する.

3.
目標の初期位置に関する個人情報をもつ捜索配分ゲーム
宝崎 隆祐 (防衛大学校)
朱 官植 (大韓民国国防部)
 

この論文は,離散時間及び離散地理空間の捜索空間上で,目標を探知しようと捜索資源を投入する捜索者とそれから逃げるべく移動戦略をとる目標との間で行われる探知確率を支払とする2人ゼロ和探索ゲームを論じている.このゲームには目標の初期位置に関する目標側の個人情報が存在するが,捜索者は初期位置に関する確率分布情報をもつ.論文では,この問題を不完備情報ゲームとしてモデル化し,捜索者及び目標の最適戦略導出のため,凸計画問題及び線形計画問題への定式化による解法を提案している.しかし,捜索時間拡大による移動パス数の爆発からパス選択による目標戦略導出が非現実的となるため,これに対処する第2の手法として,マルコフ移動戦略による解法も提案している.さらに,このモデルから定量的に評価できる目標初期位置の情報の価値が有益な示唆を与えてくれることを数値例により示している.

4.
M/G/1型マルコフ過程に対する行列解析法の拡張
井上 文彰,滝根 哲哉 (大阪大学)
 
時刻 t におけるレベル U(t) と相 S(t) の2変数で表される連続時間マルコフ過程を考察する.U(t)は非負の実数値をとり,S(t) は有限集合に値をとる.また,U(t)は遷移に左飛び越しがないものとする.このマルコフ過程は,先行研究において MAP/G/1 待ち行列の系内仕事量過程を一般化することにより導入され,U(t) > 0 という条件下における S(t)の無限小生成作用素が既約であるという,強い仮定の下で定常分布が解析されている.本稿では,この仮定を緩和し,U(t) >0という条件下におけるS(t) の無限小生成作用素が可約であるモデルへ既存の解析結果を拡張する.また,これによって,このマルコフ過程の解析結果が,あるクラスの待ち行列モデルに対し適用可能となることを示す.
5.
ランキング問題に対する行・列生成法
伊豆永 洋一 (筑波大学)
佐藤 圭介 (鉄道総合技術研究所)
巽 啓司 (大阪大学)
山本 芳嗣 (筑波大学)
 

本論文のランキング問題とは,複数の既知の対象について,その属性ベクトルとランクの対からなるデータセットが与えられたときに,新規の対象の属性ベクトルからそのランクを与えるランキング関数を作成する問題である.Shashua と Levin は,この問題を多クラスサポートベクターマシンの一種である最小マージン最大化問題に定式化している.さらにカーネルを用いた非線形分類手法を適用するために,最小マージン最大化問題の双対問題を解くことを提案している.本論文では,最小マージン最大化問題の最適解の性質を利用した異なる定式化を提案し,その定式化に基づく効率的なアルゴリズムを提案する.アルゴリズムの正当性を示すとともに,数値実験によって既存アルゴリズムに対する優位性を示す.

6.
均衡,オークション,および一般化粗代替・補完性
塩浦 昭義 (東京工業大学)
Zaifu Yang (York University))
 

異なる種類の不可分財を扱う市場モデルを考える.財は代替的または補完的であるとし,それぞれ複数ユニットが入手可能とする.各入札者はいくつかの財を消費したいとし,貨幣に関して準線形な効用関数をもつとする.本論文では,ワルラス均衡の存在を保証する条件として,粗代替性,強代替性,粗代替・補完性などを一般化した条件を提案する.次に,この新たな条件に対するいくつかの特徴付けを与える.最後に,ワルラス均衡に大域的に収束する価格調整過程を提案する.

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イベントカレンダー
2017年度第4回ORセミナー
日程:
2018年1月20日(土)
場所:
南山大学
シンポジウム
2018年春季シンポジウム
日程:
2018年3月14日(水)
場所:
東海大学

2018年秋季シンポジウム
日程:
2018年9月5日(水)
場所:
名古屋市立大学
研究発表会
2018年春季研究発表会
日程:
2018年3月15日(木)-16日(金)
場所:
東海大学

2018年秋季研究発表会
日程:
2018年9月6日(木)-7日(金)
場所:
名古屋市立大学