社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会
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JORSJ 60-1 JORSJ 60-2 

JORSJ 60-1

1.
逐次ロジットモデルにおける区分線形近似を利用した特徴選択
佐藤 俊樹 (筑波大学)
高野 祐一 (専修大学)
宮代 隆平 (東京農工大学)
本論文では,逐次ロジットモデルの特徴選択問題を扱う.この問題に対して,田中・中川(2014)はロジスティック損失関数を2次近似し,混合整数2次最適化問題による定式化を提案した.しかしながら,2次近似はロジスティック損失関数に対する近似誤差が非常に大きくなってしまうという欠点がある.この欠点を克服するために,本論文ではロジスティック損失関数に対して区分線形近似を適用し,情報量規準に基づく逐次ロジットモデルの特徴選択問題を混合整数線形最適化問題として定式化する.計算機実験の結果,区分線形近似を用いた定式化は,2次近似を用いた定式化よりも良い特徴選択ができることを示した.
2.
Forcing Graph付き最小化ナップサック問題に対する2-近似アルゴリズム
高澤 陽太朗,水野 眞治 (東京工業大学)

Carnes and Shmoys(2015)は最小化ナップサック問題に対して2-近似アルゴリズムを提案した.本論文ではこのアルゴリズムを拡張し,Forcing graph付き最小化ナップサック問題(MKPFG)に対して2-近似アルゴリズムを与えた.MKPFGは最小化ナップサック問題に,「ある要素のペアのうちどちらか一方は選ばなくてはならない」という,Forcing制約が追加された問題である.MKPFGは特殊ケースとして頂点被覆問題を含むことからStrongly NP-hardである.以上の結果に加えて,本論文では提案アルゴリズムの一般化を行い,より広いクラスの問題である0?1変数のCovering整数計画問題に対しても新しい近似アルゴリズムを与えた.

3.
モジュラリティ最大化問題に対する切除平面法
伊豆永 洋一 (一般財団法人計量計画研究所)
山本 芳嗣 (静岡大学)

与えられたネットワークを密な部分ネットワークに分割するコミュニティ抽出では,NewmanとGirvanによって提案されたモジュラリティと呼ばれる評価関数の最大化を目指す手法が広く知られている.本論文では,モジュラリティ最大化問題を集合分割問題として定式化し,その線形計画緩和問題に対して切除平面法に基づく解法を提案する.提案手法の特徴の一つとして,モジュラリティ最大化問題の異なる定式化に対する緩和問題の構造を利用することにより,切除平面法の各反復で,モジュラリティの上界値が算出可能な点が挙げられる.同時に複数本の切除平面を追加することにより切除平面法の収束の遅さを改善し,標準的なベンチマーク問題を用いた数値実験を実施した結果,提案手法は非常にタイトな上下界値を得ることを確認した.

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JORSJ 60-2

1.
動的双対化の一般化
川崎 英文 (九州大学)
岩本,木村,植野は目的関数が2乗和である最小化問題に対して,新たな変数と等式制約を導入することにより双対問題と双対定理を与え,その手法を動的双対化とよんだ.本論文では,目的関数が複数個の凸関数の和である最小化問題に対しても動的双対化の手法が有効であることを示す.
2.
転換社債価格付けのための改良ラプラス・カーソン変換アプローチ
木村 俊一 (関西大学)

転換社債型新株予約権付社債(転換社債)の価格付け問題は,期中非償還および固定転換価格を仮定する解析が比較的容易な場合でも,アメリカン派生証券の価格付け問題と本質的に等価であるために,価格式や社債保有者の最適転換時期に関する転換境界を明示的に導くことは困難である.アメリカン派生証券の価格付けに有効なラプラス変換アプローチは本問題にも適用可能であるが,そのまま直接適用すると非常に複雑で扱いにくい解を生成することが知られている.本論文では,転換社債価格をヨーロピアン社債価格と早期転換プレミアムに分解することで,価格と転換境界に対するラプラス変換を簡約な式で導出する方法を提案する.さらに,このプレミアム分解法が,転換社債に限らず一般のアメリカン派生証券の価格付け問題にも広範に適用可能であることを示す.

3.
ファジィ距離とファジィノルム
金 正道 (弘前大学)

距離空間,ベクトル空間またはノルム空間上のファジィ集合を考える.ただし,ファジィ集合がコンパクトなサポートをもつことは仮定しない.本論文では,2つのファジィ集合間の違いを測るためのファジィ距離およびファジィノルムを提案し,それらの基本的な性質を調べる.提案されるファジィ距離およびファジィノルムの定義は Zadeh の拡張原理に基づいている.それらの定義はハウスドルフ距離を基にした既存の定義とは異なるが,不確実性や曖昧性を含むデータに対して適している.得られた結果は,データがファジィ集合として表現されているとき,そのようなデータを解析するために有用になることが期待される.

4.
セミフィボナッチ制約下の2次最適化(Ⅱ)
木村 寛 (秋田県立大学)
岩本 誠一 (九州大学名誉教授)
本論文はセミフィボナッチ制約下での8変数の制約付き2次最小化問題および制約付き2次最大化問題を紹介し,それぞれ2つの問題はダ・ヴィンチ・コード,さらには一般にフィボナッチ・コードが最適点であることを示す.またこれら2つの問題はそれぞれ双対問題の一つとして制約なし双対問題を持つことを示し,これら2つの双対問題の最適点はそれぞれ1段跳びのダ・ヴィンチ・コードであることを示す.さらに双対問題の導出は,動的法(Dynamic Method),プラス・マイナス法(Plus-minus Method),不等式法(Inequality Method)の3つの方法で示す.動的法は新たな制約付き最適化問題を媒介してラグランジュ乗数法を用いている.プラス・マイナス法は双対変数を係数とする1次式を引いて加えている.また不等式法では相加相乗平均不等式を多面的に用いる手法で主双対関係を導く.
5.
レベニューマネジメントにおける1列に並んだ資源に対する動的モデル
小笠原 悠 (弘前大学)

航空機や新幹線を予約する際に,座席位置を指定するような予約方法があるが,映画館やコンサート,オペラなどの座席位置が重要になる業種では,複数席の予約を隣り合わせた状態でどのように座席に配置すればよいのか,という問題は重要になる.本研究はレベニューマネジメントの動的計画モデルにおいて一列に並んだ資源に対して,到着したリクエストを位置を考慮して割り当てるモデルを考えた.その結果,最適な割当位置に関する幾つかの特徴を明らかにし,その特徴を利用した最適政策を求めるアルゴリズムを提案して数値例を示した.

6.
粒子残存モデルと記録過程の等価性とその株式市場板モデルへの応用
豊泉 洋(早稲田大学)

粒子残存モデルは生物種共存のダイナミックスをモデル化されるために提案されたものだが,その簡易モデルは,驚くべきことに非斉次ポアソン過程と関係することが明らかになっている.一方,独立同一分布に従う確率変数列の最高値を順に記録する記録過程が非斉次ポアソン過程に従うことも知られている.ここでは,これら二つのモデル化が本質的に等価であることを示し,同時に株式市場での板モデルへの応用を述べる.

7.
相互依存型決定過程で導く組合せゲーム必勝法
藤田 敏治 (九州工業大学)
ある種の完全情報2人プレーヤー組合せゲームに対する必勝法を求める問題を考える.本論文では,相互依存型決定過程(MDDP)の手法を適用することで,この種の問題がうまく扱えることを示す.実際,2つの1段決定過程からなるMDDPにおいて,2人のプレーヤーの手番にそれぞれの過程を対応させ,一方は勝つまでの手数最小化,他方は勝つかもしくは相手が勝つまでの手数最大化を目指す定式化により,先手必勝法あるいは後手必勝法を最適政策として求めるための再帰的解法を示す.複雑な組合せゲームに対する計算量の問題は残るが,ここで与えた枠組みは,各種の完全情報2人プレーヤー組合せゲームに容易に適用可能である.
8.
超函数のフーリエ解析によるヘルグロッツ=ボホナーの定理
丸山 徹(慶應義塾大学)

整数の集合(または実軸)上の複素数値函数が正の半定符合であるためには,それがトーラス(または実軸)上の正値ラドン測度のフーリエ変換に等しいことが必要十分である.ヘルグロッツとボホナーに負うこの定理にはいくつかの証明法が知られており,たとえば古典フーリエ解析における総和法に依拠する方法,線形作用素の一径数群の表現論(ストーンの定理)を援用するアプローチなどがある.本稿では同定理の,シュヴァルツの超函数のフーリエ解析によるいまひとつの証明を体系的に述べ,定理の構造を明らかにすべく努めた.私は別の論文で弱定常確率過程の定性的性質(たとえば周期性,概周期性)を論じたが,その方法上の根拠を与えるのがヘルグロッツ=ボホナーの定理であった.

9.
非決定性逐次決定過程における超強表現定理
丸山 幸宏 (長崎大学)

種々の離散最適化問題を記述できる離散的決定過程(ddp)と逐次決定過程(sdp)およびその部分クラスの関係は,Karp and Held(1967),Ibaraki(1972)等により明らかにされている.ここでsdpはコスト関数をもつ決定性有限オートマトンである.本論文では,非決定性の離散最適化問題(非決定性最短経路問題,卵落し問題等)を記述可能な離散的決定過程(nd-ddp)と,コスト関数をもつ非決定性有限オートマトンである,非決定性逐次決定過程(nd-sdp)およびその部分クラスである非決定性の単調逐次決定過程, 正単調逐次決定過程,強単調逐次決定過程の関係を明らかにした.すなわち,
nd-ddpとnd-sdp(およびその部分クラス)における許容集合とコスト関数の値が一致するための必要十分条件(超強表現定理)を与える.

10.
侵入経路と損耗を考慮した警備ゲーム
宝崎 隆祐 (防衛大学校)
酒井 吟次郞 (防衛省)
この論文は警備ゲームを論じている.複数タイプの侵入者/攻撃者と複数チームで構成される警備側/守備側が,ネットワークで表現された施設内において衝突する.侵入者はある侵入経路を選択して移動するが,アークに配備された警備員との衝突によりその人数を少なくしつつ,移動途中で施設に損害を与える.一方の警備側は限られた人数の警備員をアーク上に配備し,侵入者を阻止しつつ施設の損害を少なくしようとする.このゲームは,警備側は警備チームと警備員の配備に関するランダム化した警備計画を立て,侵入者は警備計画の一部を知り意思決定可能な先手・後手のあるシュタッケルベルク・ゲームである.このモデルのように,ネットワーク上でプレイされ,プレイヤーの損耗が明示的に扱われた警備ゲームはこれまで研究されておらず,この論文では,施設への損害を軽減するための警備チームの最適構成や配備計画,費用対効果について分析している.
11.
需要変動の安定化のための動的価格決定モデル
佐藤 公俊 (神奈川大学)
澤木 勝茂 (南通大学,中部圏社会経済研究所)

有限期間内に需要にピークのある製品やサービスに対して,販売価格を調整することで,需要の平準化を図るためのモデルを提案する.実需要と基準値との差を最小化する問題を確率制御問題として定式化し,最適な価格政策を導出した.価格を調整しない場合と比較し,ピーク需要の分散が低減されることを示した.また,数値計算では夏季の電力需要データを用いて,需要の平準化を視覚的に示した.さらに,顧客が価格に敏感であるほど,価格調整はピーク需要の低減に効果的であることを示した.

12.
プロジェクトマネジメントにおけるリスク対策の効果を表す数理モデル
福田 裕一,桑野 裕昭 (金沢学院大学)

プロジェクトではさまざまなプロジェクト・リスクが発生し,コストやスケジュールに対して悪い影響を与えることにより,あらかじめ決められた目標の期日までにプロジェクトを完了することができない等の失敗に終わる場合がある.このため実務においては,予測されるいくつかのプロジェクト・リスクに対してリスク対策を実施することにより,リスクの発生やプロジェクトへの影響をコントロールし,プロジェクトの失敗を未然に防ごうとしている.本研究では,これらリスク対策の効果を表すための数理モデルを提案する.さらにこの数理モデルを用いて,リスク対策の効果を定量的に算出することにより,リスク対策すべきプロジェクト・リスクを決定するための定量的な情報を意思決定者に提供する.

13.
戦略的補完性を持つ有限マルコフゲームにおける純粋戦略均衡の存在
渡辺 隆裕,山下 英明 (首都大学東京)
本論文は,戦略と状態の数が共に有限である有限期間マルコフゲームに対して,各成分ゲームが戦略的補完性を持つ場合における純粋戦略均衡の存在の十分条件を考察している.過去の研究では,戦略と状態の数が無限である無限期間マルコフゲームに対して同様のゲームにおける存在条件が考察されているが,そこでは優対角条件と呼ばれる条件が課され均衡点が唯一であることが仮定されており,さらには状態と戦略が一次元であることも仮定されていた.本論文では,優対角条件を課さず複数均衡を許し,さらに状態と戦略が多次元であることを許して均衡の存在の十分条件を示した.また応用として,投資により需要が増加する多期間価格競争の寡占モデルに条件を適用して,その均衡の存在条件を導出した.
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2017年度第1回ORセミナー
日程:
2017年5月13日(土)
場所:
(株)構造計画研究所

2017年度第2回ORセミナー
日程:
2017年6月17日(土)
場所:
(株)構造計画研究所
シンポジウム
2017年秋季シンポジウム
日程:
2017年9月13日(水)
場所:
関西大学
研究発表会
2017年秋季研究発表会
日程:
2017年9月14日(木)-15日(金)
場所:
関西大学