社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会
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JORSJ 60-1 JORSJ 60-2 JORSJ 60-3 JORSJ 60-4

JORSJ 60-1

1.
逐次ロジットモデルにおける区分線形近似を利用した特徴選択
佐藤 俊樹 (筑波大学)
高野 祐一 (専修大学)
宮代 隆平 (東京農工大学)
本論文では,逐次ロジットモデルの特徴選択問題を扱う.この問題に対して,田中・中川(2014)はロジスティック損失関数を2次近似し,混合整数2次最適化問題による定式化を提案した.しかしながら,2次近似はロジスティック損失関数に対する近似誤差が非常に大きくなってしまうという欠点がある.この欠点を克服するために,本論文ではロジスティック損失関数に対して区分線形近似を適用し,情報量規準に基づく逐次ロジットモデルの特徴選択問題を混合整数線形最適化問題として定式化する.計算機実験の結果,区分線形近似を用いた定式化は,2次近似を用いた定式化よりも良い特徴選択ができることを示した.
2.
Forcing Graph付き最小化ナップサック問題に対する2-近似アルゴリズム
高澤 陽太朗,水野 眞治 (東京工業大学)

Carnes and Shmoys(2015)は最小化ナップサック問題に対して2-近似アルゴリズムを提案した.本論文ではこのアルゴリズムを拡張し,Forcing graph付き最小化ナップサック問題(MKPFG)に対して2-近似アルゴリズムを与えた.MKPFGは最小化ナップサック問題に,「ある要素のペアのうちどちらか一方は選ばなくてはならない」という,Forcing制約が追加された問題である.MKPFGは特殊ケースとして頂点被覆問題を含むことからStrongly NP-hardである.以上の結果に加えて,本論文では提案アルゴリズムの一般化を行い,より広いクラスの問題である0?1変数のCovering整数計画問題に対しても新しい近似アルゴリズムを与えた.

3.
モジュラリティ最大化問題に対する切除平面法
伊豆永 洋一 (一般財団法人計量計画研究所)
山本 芳嗣 (静岡大学)

与えられたネットワークを密な部分ネットワークに分割するコミュニティ抽出では,NewmanとGirvanによって提案されたモジュラリティと呼ばれる評価関数の最大化を目指す手法が広く知られている.本論文では,モジュラリティ最大化問題を集合分割問題として定式化し,その線形計画緩和問題に対して切除平面法に基づく解法を提案する.提案手法の特徴の一つとして,モジュラリティ最大化問題の異なる定式化に対する緩和問題の構造を利用することにより,切除平面法の各反復で,モジュラリティの上界値が算出可能な点が挙げられる.同時に複数本の切除平面を追加することにより切除平面法の収束の遅さを改善し,標準的なベンチマーク問題を用いた数値実験を実施した結果,提案手法は非常にタイトな上下界値を得ることを確認した.

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JORSJ 60-2

1.
動的双対化の一般化
川崎 英文 (九州大学)
岩本,木村,植野は目的関数が2乗和である最小化問題に対して,新たな変数と等式制約を導入することにより双対問題と双対定理を与え,その手法を動的双対化とよんだ.本論文では,目的関数が複数個の凸関数の和である最小化問題に対しても動的双対化の手法が有効であることを示す.
2.
転換社債価格付けのための改良ラプラス・カーソン変換アプローチ
木村 俊一 (関西大学)

転換社債型新株予約権付社債(転換社債)の価格付け問題は,期中非償還および固定転換価格を仮定する解析が比較的容易な場合でも,アメリカン派生証券の価格付け問題と本質的に等価であるために,価格式や社債保有者の最適転換時期に関する転換境界を明示的に導くことは困難である.アメリカン派生証券の価格付けに有効なラプラス変換アプローチは本問題にも適用可能であるが,そのまま直接適用すると非常に複雑で扱いにくい解を生成することが知られている.本論文では,転換社債価格をヨーロピアン社債価格と早期転換プレミアムに分解することで,価格と転換境界に対するラプラス変換を簡約な式で導出する方法を提案する.さらに,このプレミアム分解法が,転換社債に限らず一般のアメリカン派生証券の価格付け問題にも広範に適用可能であることを示す.

3.
ファジィ距離とファジィノルム
金 正道 (弘前大学)

距離空間,ベクトル空間またはノルム空間上のファジィ集合を考える.ただし,ファジィ集合がコンパクトなサポートをもつことは仮定しない.本論文では,2つのファジィ集合間の違いを測るためのファジィ距離およびファジィノルムを提案し,それらの基本的な性質を調べる.提案されるファジィ距離およびファジィノルムの定義は Zadeh の拡張原理に基づいている.それらの定義はハウスドルフ距離を基にした既存の定義とは異なるが,不確実性や曖昧性を含むデータに対して適している.得られた結果は,データがファジィ集合として表現されているとき,そのようなデータを解析するために有用になることが期待される.

4.
セミフィボナッチ制約下の2次最適化(Ⅱ)
木村 寛 (秋田県立大学)
岩本 誠一 (九州大学名誉教授)
本論文はセミフィボナッチ制約下での8変数の制約付き2次最小化問題および制約付き2次最大化問題を紹介し,それぞれ2つの問題はダ・ヴィンチ・コード,さらには一般にフィボナッチ・コードが最適点であることを示す.またこれら2つの問題はそれぞれ双対問題の一つとして制約なし双対問題を持つことを示し,これら2つの双対問題の最適点はそれぞれ1段跳びのダ・ヴィンチ・コードであることを示す.さらに双対問題の導出は,動的法(Dynamic Method),プラス・マイナス法(Plus-minus Method),不等式法(Inequality Method)の3つの方法で示す.動的法は新たな制約付き最適化問題を媒介してラグランジュ乗数法を用いている.プラス・マイナス法は双対変数を係数とする1次式を引いて加えている.また不等式法では相加相乗平均不等式を多面的に用いる手法で主双対関係を導く.
5.
レベニューマネジメントにおける1列に並んだ資源に対する動的モデル
小笠原 悠 (弘前大学)

航空機や新幹線を予約する際に,座席位置を指定するような予約方法があるが,映画館やコンサート,オペラなどの座席位置が重要になる業種では,複数席の予約を隣り合わせた状態でどのように座席に配置すればよいのか,という問題は重要になる.本研究はレベニューマネジメントの動的計画モデルにおいて一列に並んだ資源に対して,到着したリクエストを位置を考慮して割り当てるモデルを考えた.その結果,最適な割当位置に関する幾つかの特徴を明らかにし,その特徴を利用した最適政策を求めるアルゴリズムを提案して数値例を示した.

6.
粒子残存モデルと記録過程の等価性とその株式市場板モデルへの応用
豊泉 洋(早稲田大学)

粒子残存モデルは生物種共存のダイナミックスをモデル化されるために提案されたものだが,その簡易モデルは,驚くべきことに非斉次ポアソン過程と関係することが明らかになっている.一方,独立同一分布に従う確率変数列の最高値を順に記録する記録過程が非斉次ポアソン過程に従うことも知られている.ここでは,これら二つのモデル化が本質的に等価であることを示し,同時に株式市場での板モデルへの応用を述べる.

7.
相互依存型決定過程で導く組合せゲーム必勝法
藤田 敏治 (九州工業大学)
ある種の完全情報2人プレーヤー組合せゲームに対する必勝法を求める問題を考える.本論文では,相互依存型決定過程(MDDP)の手法を適用することで,この種の問題がうまく扱えることを示す.実際,2つの1段決定過程からなるMDDPにおいて,2人のプレーヤーの手番にそれぞれの過程を対応させ,一方は勝つまでの手数最小化,他方は勝つかもしくは相手が勝つまでの手数最大化を目指す定式化により,先手必勝法あるいは後手必勝法を最適政策として求めるための再帰的解法を示す.複雑な組合せゲームに対する計算量の問題は残るが,ここで与えた枠組みは,各種の完全情報2人プレーヤー組合せゲームに容易に適用可能である.
8.
超函数のフーリエ解析によるヘルグロッツ=ボホナーの定理
丸山 徹(慶應義塾大学)

整数の集合(または実軸)上の複素数値函数が正の半定符合であるためには,それがトーラス(または実軸)上の正値ラドン測度のフーリエ変換に等しいことが必要十分である.ヘルグロッツとボホナーに負うこの定理にはいくつかの証明法が知られており,たとえば古典フーリエ解析における総和法に依拠する方法,線形作用素の一径数群の表現論(ストーンの定理)を援用するアプローチなどがある.本稿では同定理の,シュヴァルツの超函数のフーリエ解析によるいまひとつの証明を体系的に述べ,定理の構造を明らかにすべく努めた.私は別の論文で弱定常確率過程の定性的性質(たとえば周期性,概周期性)を論じたが,その方法上の根拠を与えるのがヘルグロッツ=ボホナーの定理であった.

9.
非決定性逐次決定過程における超強表現定理
丸山 幸宏 (長崎大学)

種々の離散最適化問題を記述できる離散的決定過程(ddp)と逐次決定過程(sdp)およびその部分クラスの関係は,Karp and Held(1967),Ibaraki(1972)等により明らかにされている.ここでsdpはコスト関数をもつ決定性有限オートマトンである.本論文では,非決定性の離散最適化問題(非決定性最短経路問題,卵落し問題等)を記述可能な離散的決定過程(nd-ddp)と,コスト関数をもつ非決定性有限オートマトンである,非決定性逐次決定過程(nd-sdp)およびその部分クラスである非決定性の単調逐次決定過程, 正単調逐次決定過程,強単調逐次決定過程の関係を明らかにした.すなわち,
nd-ddpとnd-sdp(およびその部分クラス)における許容集合とコスト関数の値が一致するための必要十分条件(超強表現定理)を与える.

10.
侵入経路と損耗を考慮した警備ゲーム
宝崎 隆祐 (防衛大学校)
酒井 吟次郞 (防衛省)
この論文は警備ゲームを論じている.複数タイプの侵入者/攻撃者と複数チームで構成される警備側/守備側が,ネットワークで表現された施設内において衝突する.侵入者はある侵入経路を選択して移動するが,アークに配備された警備員との衝突によりその人数を少なくしつつ,移動途中で施設に損害を与える.一方の警備側は限られた人数の警備員をアーク上に配備し,侵入者を阻止しつつ施設の損害を少なくしようとする.このゲームは,警備側は警備チームと警備員の配備に関するランダム化した警備計画を立て,侵入者は警備計画の一部を知り意思決定可能な先手・後手のあるシュタッケルベルク・ゲームである.このモデルのように,ネットワーク上でプレイされ,プレイヤーの損耗が明示的に扱われた警備ゲームはこれまで研究されておらず,この論文では,施設への損害を軽減するための警備チームの最適構成や配備計画,費用対効果について分析している.
11.
需要変動の安定化のための動的価格決定モデル
佐藤 公俊 (神奈川大学)
澤木 勝茂 (南通大学,中部圏社会経済研究所)

有限期間内に需要にピークのある製品やサービスに対して,販売価格を調整することで,需要の平準化を図るためのモデルを提案する.実需要と基準値との差を最小化する問題を確率制御問題として定式化し,最適な価格政策を導出した.価格を調整しない場合と比較し,ピーク需要の分散が低減されることを示した.また,数値計算では夏季の電力需要データを用いて,需要の平準化を視覚的に示した.さらに,顧客が価格に敏感であるほど,価格調整はピーク需要の低減に効果的であることを示した.

12.
プロジェクトマネジメントにおけるリスク対策の効果を表す数理モデル
福田 裕一,桑野 裕昭 (金沢学院大学)

プロジェクトではさまざまなプロジェクト・リスクが発生し,コストやスケジュールに対して悪い影響を与えることにより,あらかじめ決められた目標の期日までにプロジェクトを完了することができない等の失敗に終わる場合がある.このため実務においては,予測されるいくつかのプロジェクト・リスクに対してリスク対策を実施することにより,リスクの発生やプロジェクトへの影響をコントロールし,プロジェクトの失敗を未然に防ごうとしている.本研究では,これらリスク対策の効果を表すための数理モデルを提案する.さらにこの数理モデルを用いて,リスク対策の効果を定量的に算出することにより,リスク対策すべきプロジェクト・リスクを決定するための定量的な情報を意思決定者に提供する.

13.
戦略的補完性を持つ有限マルコフゲームにおける純粋戦略均衡の存在
渡辺 隆裕,山下 英明 (首都大学東京)
本論文は,戦略と状態の数が共に有限である有限期間マルコフゲームに対して,各成分ゲームが戦略的補完性を持つ場合における純粋戦略均衡の存在の十分条件を考察している.過去の研究では,戦略と状態の数が無限である無限期間マルコフゲームに対して同様のゲームにおける存在条件が考察されているが,そこでは優対角条件と呼ばれる条件が課され均衡点が唯一であることが仮定されており,さらには状態と戦略が一次元であることも仮定されていた.本論文では,優対角条件を課さず複数均衡を許し,さらに状態と戦略が多次元であることを許して均衡の存在の十分条件を示した.また応用として,投資により需要が増加する多期間価格競争の寡占モデルに条件を適用して,その均衡の存在条件を導出した.
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JORSJ 60-3
A Special Issue on the 60th Anniversary of the Operations Research Society of Japan

1.
L凸関数の最小化アルゴリズム:離散凸解析と諸分野との繋がり
塩浦 昭義 (東京工業大学)
L凸関数は,整数格子点集合の上で定義された関数に対する離散凸性の概念であり,離散凸解析の枠組みにおいて中心的な役割を果たしている.本稿ではまず,L凸関数の最小化問題がさまざまなアルゴリズムにより解けることを述べる.異なる研究分野で独立に提案されているいくつかのアルゴリズムは,特殊なL凸関数に対する最小化アルゴリズムと見なすことができるが,このことは,離散凸解析の世界が諸分野と密接に繋がっていることを示す端的な例となっている.次に,最小化アルゴリズムの反復回数を理論的に解析し,厳密な反復回数が初期解と最小解の距離を用いて与えられることを示す.このように,L凸関数の最小化アルゴリズムを解析することにより,諸分野のアルゴリズムに対する統一的な視点を与えることができる.最後に応用例として,オークション理論における繰り返しオークションへの適用について説明する.
2.
ファンド運営を意識した下での複数ペアを用いた最適ペアトレード戦略
山本 零 (武蔵大学)
枇々木 規雄 (慶應義塾大学)
ペアトレード戦略は古典的な投資手法の一つであり,直感的なわかりやすさと運営の行いやすさから,現在でも多くの投資家が利用している手法である.本研究では複数の投資対象ペアを用いた場合において,実際のファンド運営で用いられる取引ルールを採用し,取引コストや離散時間のリバランスなどの制約条件下で最適な投資戦略を導出するモデルを提案した.このモデルは非連続の取引ルールを用いているため,非連続変数を含むシミュレーション型の大規模な最適化問題として定式化される.そのため本研究ではこの問題を解くためにDFO(Derivative Free Optimization)手法を用いたヒューリスティックアルゴリズムを提案した.数値実験では複数ペアを用いた最適ペアトレード戦略の特性や提案したアルゴリズムの効率性を検証し,提案したモデル,アルゴリズムの有効性を示した.
3.
非線形最適化における2乗スラック変数法に関する考察
福田 エレン秀美 (京都大学)
福島 雅夫 (南山大学))

非線形最適化において,不等式制約条件を含む問題が2乗スラック変数を用いて等式制約条件のみを含む問題に変換できることはよく知られている.しかし,そのように再定式化された問題は数値的に不安定となる可能性があるため,これまであまり重要視されてこなかった.ただ,それはアルゴリズム設計の観点からみた障害であり,最適化の理論をより深く理解するためには,2乗スラック変数を用いる方法について考察することは重要である.本研究では,不等式制約問題のカルーシュ・キューン・タッカー(KKT)点と2乗スラック変数を用いて再定式化された等式制約問題のKKT点との関係について詳しく考察した.特に,KKT点の等価性においては,最適性の2次の十分条件が重要な役割を果たすことを確認した.

4.
ブロック構造化マルコフ連鎖の最終列ブロック増大切断に対する誤差上界
増山 博之 (京都大学)

本論文では,連続時間上のブロック構造化マルコフ連鎖の最終列ブロック増大切断について誤差評価を行う.まず,ブロック構造化マルコフ連鎖が一般的なf-変調ドリフト条件をみたすという条件のもとで,最終列ブロック増大切断によって近似的に得られるマルコフ連鎖の時間平均汎関数の相対誤差上界を導出する.また,元のマルコフ連鎖が幾何エルゴード的となる場合には,計算可能な誤差上界を与える.さらに,一般的な場合についても,幾何エルゴード的な場合に帰着させることで,計算可能な誤差上界を導く.また,得られた誤差上界を, ポアソン到着と指数サービス時間を有する再試行型複数サーバ待ち行列の系内客数過程に適用し,数値実験例を通して誤差上界の性質について考察する.最後に,切断誤差評価の手法を応用し,定常分布に関する計算可能な摂動上界を与える.

5.
多重共線性を回避する最良変数選択手法
田村 隆太 (東京農工大学)
小林 健 (富士通研究所)
高野 祐一 (専修大学)
宮代 隆平 (東京農工大学)
中田 和秀,松井 知己 (東京工業大学)

本論文では線形回帰モデルから多重共線性を除去することを目的とし,選択変数の相関係数行列の条件数に対する上限制約の下で,説明変数の最良の部分集合を選択する2種類の手法を提案する.まず,混合整数二次最適化問題に条件数制約を近似した切除平面を逐次的に追加していく切除平面法を構築する.次に,条件数制約の下での最良変数選択問題を,混合整数半正定値最適化問題として定式化する.計算機実験の結果,切除平面法は部分集合選択のために用いられる変数増加法および変数減少法よりも良質な解を得ることができた.また候補となる説明変数の数が少ない場合には,本論文で提案した混合整数半正定値最適化問題としての定式化によって最良の部分集合を選択することができた.

6.
ゲルバー・シュー関数のphase-type近似
山崎 和俊 (関西大学・システム理工学部)

ゲルバー・シュー関数(Gerber-Shiu function)は保険会社の抱えるリスク評価として用いられる.破産時刻およびその直前・直後の余剰資金に依存する関数の期待値として表され,その評価には余剰資金過程のオーバーシュートとアンダーシュートの計算が必要となる.本稿では,レヴィー過程の変動理論を用い,下向きジャンプを持つ場合(spectrally negativeな場合)のゲルバー・シュー関数の近似を行う.ブラウン運動とジャンプサイズが相形分布の複合ポワソン過程を用いてレヴィー過程を近似することで,解析的に得られる尺度関数(scale function)を用いた明示的な形での近似を行う.

7.
損耗ゲームにおける情報の被取得に関する認知と戦略変更可能性の影響
宝崎 隆祐 (防衛大学校)
田中 真 (防衛省
この論文では,通信ネットにおけるマルウェアの阻止やインフラネットにおける障害防止等に適用可能な一般的なモデルであるネットワーク阻止ゲームを,ネットワークへの侵入者と防護者の間の2人ゼロ和の損耗ゲームに単純化して議論している.侵入者は経路を選択して侵入し,防護側はその阻止を意図して防護資源をアーク上に配置する.侵入者に関する情報には現在位置と将来の経路の2種類,防護者に関しては防護資源の現在量と将来の配置位置の2種類がある.この論文では,これらの情報が相手に取得されたかどうかの被取得者の認識と取得された時点での戦略の変更可能性の2つの情報取得状況のすべてを組み合わせたゲームに対し均衡解を求めている.すでに公刊された2編の論文における情報完備モデルとこの論文のモデルにより,情報取得に絡むほとんどの状況を考慮した16本のモデルが完結したことになり,損耗ゲームに関して,情報の価値のみならず,情報取得状況の価値を評価できたことになる.
8.
円ネットワーク上の移動費用を要する探索ゲーム
Vic Baston (サウザンプトン大学)
菊田 健作 (兵庫県立大学))

hider と呼ばれるplayer が1個の静止目標物を有限連結ネットワーク上のノードのどれかに隠す.探索者と呼ばれるplayerはネットワークの辺上を移動しながらノードにある静止目標物を探す.探索者がノードを調べるとき,また辺上を移動するときに費用が発生する.探索者はhiderを見つけるまでの総費用が小さくなるようにノードを探索する順序を決めねばならない. hiderは総費用が大きくなるように目標物を隠すノードを選びたい.このような状況が行列ゲームモデルとして表現される.本論文では,円ネットワーク上の指定された有限個のノードのうちの一つから探索を始めることができる場合で,指定されたノード同士がある性質を満たす時,ゲームの値の上限を与える.さらに,与えた上限がゲームの値に一致するような場合を示す.

9.
二者択一の定理の折り紙への応用
川崎 英文 (九州大学)

ねじり折りという折り紙技法がある.凸多角形の各辺と一定の角度をなす
細長い領域(帯)を内側に折りながら,全体を折りたたみ,渦巻状の形に仕上げる.これまで,最適化の手法が折り紙の解析に用いられることはなかったが,本論文ではゲールの二者択一の定理がねじり折りの解析に役立つことを示す.

10.
地中ケーブルの発見に要する掘削距離を評価するための幾何学的確率モデル
田中 健一,椎名 香奈 (慶應義塾大学)
地中に埋設されたケーブルを発見する掘削方法を評価するための数理モデルを提案する.Faberらは,電話会社がケーブルの修理工事のためにケーブルを発見する問題を扱っている.ケーブルは,地上の目印が示す本来の位置からずれており,ずれの最大値がわかっている.Faberらは,掘削距離の最大値を最小化する掘削方法がU字型であることを示した.これは,目印を中心として半径がずれの最大値の円に沿った場合よりも,18パーセントも短い.しかし現実には,ケーブルを発見した時点で掘削を終了できるため,掘削距離の期待値等の他の尺度でも評価することが望ましい.本稿では,ケーブルの出現をランダムラインでモデル化し,U字型と円周に沿った場合について,掘削距離の分布と期待値および分散を導出した.期待値から評価すると,円周に沿った掘削の方が,U字型に沿った掘削よりも,掘削距離が5パーセント程度も短いことが示された.
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JORSJ 60-4

1.
退化した単体上でのシンプレックス法の挙動
水野 眞治(東京工業大学)
鮏川 矩義(中央大学)
デザ アントワーヌ(マクマスター大学)
単体法は線形計画問題に対する実用的な解法の1つであるが,問題の次元に対して指数的に計算量が増えるような入力例が知られている.こういった都合の悪 い入力例には,入力ビット長が非常に大きく,付随す る実行可能多面体が指数個の端点を持ち非退化である, といった共通点がある.本論文では,入力ビット長が小さく(入力の各データが0, 1, 2のいずれか),付随する多面体の端点の個数が少ない入力例(付随する多面体が単体)であっても,単体法の計算量が指数的に増加する場合があることを証明する.ことができる.最後に応用例として,オークション理論における繰り返しオークションへの適用について説明する.
2.
最も近い施設と2番目に近い施設までの距離の比の分布
宮川 雅至(山梨大学)
本研究では利用者から最も近い施設と2番目に近い施設までの距離の比について論じる.最も近い施設が閉鎖され,2番目に近い施設を利用しなければならない状況を考えると,最も近い施設までの距離だけでなく,2番目に近い施設までの距離も重要である.そして,それらの距離の比は施設配置の頑健性を表す.まず,格子状配置とランダム配置に対して,2つの施設までの直線距離および直交距離の比の分布を求める.次に,比と同じく頑健性の指標である距離の差との比較を行う.さらに,実際の施設を対象として施設までの道路距離の比の分布を求め,施設配置の頑健性を評価する.比の分布は対象地域内で施設配置のサービスレベルがどのように分布しているかを表し,頑健性の低い地域を発見することにも使えるため,閉鎖を考慮した施設配置に役立つ.
3.
制約付き対称ラテン方陣構成問題に対する高 速な局所探索法
原口 和也(小樽商科大学)

「このマス目には特定の値を割り当ててはならない」 といった類の制約を満たすように対称ラテン方陣を構成する問題は,スポーツスケジューリングなどにおける基本的な問題の1つである.本論文ではこの問題を,できるだけ多くのマス目に値を割り当てることを問う最大化問題としてとらえ,効率の良い局所探索法を提案する.この局所探索法はp-交換という,現在の解からp個の値を取り除き,任意の個数の値を割り当てるような近傍操作に基づいているが,p=1および2の場合について,近傍内に改善解が存在すればそれを求め,そうでなければその旨を出力することがO(np+1)時間で実現できることを示す(nはラテン方陣の次数).計算実験によって最新のソルバと比較した結果,反復局所探索法に基づいたアルゴリズムは高い頻度でより良い解を求めることが確認された.

4.
ノンパラメトリック予測推論アプローチによる適応的コスト評価規範ソフトウェア若化計画
林坂 弘一郎(神戸学院大学)
土肥 正(広島大学)

本論文では単位時間あたり期待コストを最小化する最適ソフトウェア若化スケジュールの推定手法を提案する.ノンパラメトリック予測推論アプローチにより,システム障害データから予測信頼度関数を定式化し,予測ソフトウェアコストの上下限を導出する.さらに,システム障害時間の右側打切りデータを用いて適応的に次の最適ソフトウェア若化方策を導出する.シミュ レーション実験によって本論文で提案したノンパラメトリック予測推論による最適ソフトウェア若化方策の有効性を示す.

5.
ネットワークにおける価格安定化モデル
木庭 淳,菊田 健作(兵庫県立大学)
三道 弘明(関西学院大学)

節点と枝を都市間連結のネットワークとみなすようなマルチエージェントモデルを考える.各節点には一人の代表的エージェントがいて近隣の節点に対する財の売買を繰り返す.つまり買い行動では近隣のうち最安値の節点に対して買値提案をし,売り行動では複数個の提案のうち最高値に対して契約を結ぶ.このときすべての節点における財の価格が等しくなかったとしても,ある条件下でやがて均衡価格に達することが示せる.またこの均衡価格は全体の貨幣と財から導出され,フィッシャーの交換方程式の特殊ケースと考えられる.次にオークションにおける最適方策が適用可能であること,およびパスとサイクルにおける安定化時間を調べた.最後にシミュレーションを実行し,より一般的な形状のネットワークの安定化時間,買い行動数の予測,貨幣量の分散についても数値実験を行った.

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イベントカレンダー
2017年度第4回ORセミナー
日程:
2018年1月20日(土)
場所:
南山大学
シンポジウム
2018年春季シンポジウム
日程:
2018年3月14日(水)
場所:
東海大学

2018年秋季シンポジウム
日程:
2018年9月5日(水)
場所:
名古屋市立大学
研究発表会
2018年春季研究発表会
日程:
2018年3月15日(木)-16日(金)
場所:
東海大学

2018年秋季研究発表会
日程:
2018年9月6日(木)-7日(金)
場所:
名古屋市立大学