オペレーションの企業内連結から企業間戦略的連携へ−統合オペレーションの進化− 梅沢 豊
  あらまし 多品種少量生産のもと、オペレーションの企業内連結が、企業間戦略的連携による統合オペレーションへの転換を迫られるにいたった構造的要因を分析する。第一に、大企業が多数のオペレーションを社内に統合し組織的管理で調整する形態よりも、得意分野のオペレーションに特化した専門企業同士が専ら市場取引によって需給調整を行う社会的分業の方がコスト的により効率的であること、第二に、市場取引のみでこの社会的分業を調整するよりも、市場取引と組織的管理の両面を合わせもつ仕組みの企業間戦略的連携によって企業間の統合オペレーションを推進する方がより効率的であることを示す。
  キーワード 企業内統合オペレーション、企業間統合オペレーション、戦略的連携、標準品大量生産、多品種少量生産、規模の経済性、範囲の経済性、シナジ、市場か管理か、選択と集中
     
SCMのための統合モデリング 松尾博文
  あらまし サプライチェーンマネジメント(SCM)は需要サイドのマーケティングと供給サイドのオペレーション管理の統合を目指す。本論文では、最初に、サプライチェーン戦略の解説をする。次に、マーケティングとオペレーション管理を統合するOM/M-統合モデリングを提唱する。OM/M-統合モデリングでは、従来、個別に扱われてきたマーケティングとオペレーション管理の種々の最適化問題を、需要ダイナミクスを通じて連結する。最後に、パーソナルコンピュータの直販ビジネスモデルの事例と鮮度商品のSCMの事例をもとにOM/M-統合モデリングを解説する。
  キーワード SCM、在庫管理、需要予測、マーケティング・サイエンス
     
統合オペレーション戦略のケーススタディ
  −百貨店チャネルのアパレル流通における取引改革の分析−
藤野直明
  あらまし 本稿は、梅沢(2001)により提唱された”統合オペレーション戦略”を分析フレームワークとして採用し、現在進行しつつある「百貨店チャネルのアパレル流通における取引改革」を分析する。当該分析フレームワークを活用することにより、既存の取引形態が閉塞状況に陥っていた原因や、なぜ新しい取引形態が必要であったのかに加え、新しい取引形態がなぜ機能するのかを明らかにする。
  キーワード 統合オペレーション戦略、SCM、QR、アパレル流通、返品制、組織内調整、CPFR
     
自動車部品取引の「オープン化」とサプライチェーンマネジメントの今後の課題 近能善範
  あらまし 本稿では、最近における日本の自動車部品取引の「オープン化」の傾向が、サプライチェーンマネジメントにどのような課題を突きつけているのか、そうした課題を克服していくためにはどのようなマネジメントが必要とされるのか、といった点について論じる。
  キーワード 自動車部品取引のオープン化、アーキテクチャ、サプライチェーンマネジメント(SCM)
     
東京ガスにおける商品流通改革 伊藤武寿、田中徹之
  あらまし ガス機器販売の収支を改善し,競争力を向上させるため,東京ガスは商品流通改革プロジェクトを立ち上げた.このプロジェクトにおいて,当社を中心とした簡潔なサプライチェーンを構築する必要性が明確となった.この簡潔なサプライチェーンを構築するために行った,より詳細な検討とシステムの構築に関し,商品流通改革以前の課題と,それらに対する改善策およびシステム的対応について,チャネルにおける商品手配や,当社における在庫設計を中心に紹介する.
  キーワード 物流,在庫設計,サプライチェーンマネジメント
     
報技術の進歩がマーケティングにもたらすもの 古川一郎
  あらまし 情報技術はコモディティ化しミクロレベルにおいては競争優位の源泉にならないという論点は、新しいビジネスモデルが早晩陳腐化あるいは模倣されてしまうということで、マクロレベルの変化が個別企業の競争状況にフィードバックされる点を見過ごしている。情報技術の進化は、消費者行動に大きな影響を与えマーケティングを根底から変える力を持っている。特に、ネット上の対話の「場」がネット・コミュニティ独自の価値観やルールというものを形成し、従来不可能であったことを可能にしているといった現象の背後にある論理を考察することは、情報技術の進化とマーケティングを考える上で重要である。
  キーワード マーケティング、ネット・コミュニティ、動機の同質性
     
オンライン・ショップの情報提供と戦略マネジメント 野島美保
  あらまし オンライン・ショップの阻害要因である消費者の知覚リスクに焦点をあて、ショップの情報提供のあり方を論じる。知覚リスクを削減するために提供すべき情報を分類し、ショップのパフォーマンスとの関係を考察している。日本のオンライン・ショップ133社の調査の結果、リアル世界の評価情報(実店舗の有名性等)と取引に関する情報(在庫・配送納期・苦情処理)を主に提供するタイプ(リアル情報型)と、ネット上の評判を利用して消費者や専門家の評価情報を主に提供するタイプ(ネット情報型)の二つのビジネス・モデルが発見され、どちらのモデルでも顧客獲得が可能であることが示されている。
  キーワード オンライン取引、知覚リスク、情報提供、戦略