人口・世帯から見た日本の姿:これまでとこれから 小山泰代
  あらまし 国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計(平成14年1月推計)によれば、日本の人口は間もなく減少に転じるとされる。少子・高齢化の進行は止まらず、人口の年齢構造は大きく変化していく。また、人口の減少とともに、世帯の形も変化する。同研究所の世帯数の将来推計(2003年10月推計)では、人口に続いて世帯数もやがて減少に転じるが、世帯規模の縮小傾向は続き、やがては3世帯に1世帯が単独世帯となると予測されている。本稿では、統計データと将来推計の結果にもとづいて人口と世帯の動向を観察し、今後現れ得る日本の将来像のひとつを具体的に描き出す。
  キーワード 人口減少、世帯の縮小、将来推計
     
人口減少のメカニズム 稲葉 寿
  あらまし 過去1世紀以上にわたってほぼ指数関数的に増加してきた日本の人口は、21世紀の今日その増加はほぼ停止するに至り、今後は持続的な人口減少の時代が半世紀に及ぶであろうと予測される。その要因は急速な出生力の減少である。本稿では、日本の人口減少のメカニズムを数理モデルによって理解するという観点から、まず古典的な人口学の基本概念の紹介と再検討を行う。特に合計特殊出生率(TFR)の解釈において、人口学的イベントの発生タイミングがもつ意義を明らかにする。ついで出生力変動の要因として結婚現象を考慮した人口再生産モデルについて述べる。
  キーワード 安定人口モデル、合計特殊出生率、テンポ効果
     
人口減少と世帯・家族 鈴木 透
  あらまし 人口減少と世帯減少の開始時期の違いを論じる。また、人口減少に伴う家族の変化として、親族集団の規模、家系の絶滅、男子の結婚難を扱う。
  キーワード 世帯規模、親族集団、絶滅、結婚難
     
人口減少と人口移動
中川聡史
  あらまし 出生率が高く、他出可能な若年人口が豊富に存在した人口増加局面では、非大都市圏から大都市圏への大規模な人口移動が生じた。1960年代の日本はそれに当たり、若年人口の分布と就業機会の分布の大きな乖離がこうした人口移動を引き起こした。出生率が低下し、サービス産業化が進展し、若年人口分布と就業機会分布の乖離が縮小した1980年代以降は、人口移動の絶対数が減少する一方、人口移動の選択性が強まり、高学歴人口が選択的に東京圏へ集中するようになった。絶対数の減少と選択性の強化が人口減少局面での人口移動の特徴であると考えられる。
  キーワード 人口移動、人口分布、就業機会分布、選択的移動
     
地域からみた人口減少のメカニズム 小池司朗
  あらまし 人口といえば全国的には出生率の動向が注目を集めているが、地域別の人口分布変化をもたらす最大の要因は依然として人口移動である。特に若年層の人口移動は次世代の人口分布にも直結するため二重の影響力を持つ。一定以上の大きな都市圏を除く大半の地域では、継続的な若年層の流出から再生産に不利な人口構造が形成され、相対的に出生率が高い場合でも早い時期からの自然減がみられる。全国の人口減少が間近に迫った今日、地域にとって人口移動はいっそう重要性を帯びているといえる。
  キーワード 人口減少、地域、人口移動、北海道