三角網分割を用いた連続エリアカルトグラムの作成手法 井上 亮、清水英範
  あらまし 連続エリアカルトグラムとは、地図上の地域の面積が地域の統計データの大小を表すように地理的地図を変形した地図である。近年、GIS時代の統計データの視覚化手法として注目されている。連続エリアカルトグラム作成問題は、地域の面積に関する情報だけからその形状を定めることはできないため、解の一意性を持たない不良設定問題である。その解法は様々提案されてきたが、数学的に明快で、操作性に優れ、短時間で計算可能な、視覚化手法として有効な解法は未だ提案されていない。本論文では、以上の課題を解決する数学的に明快で簡潔かつ高速な連続エリアカルトグラム作成アルゴリズムを提案し、実用性の高い連続エリアカルトグラム作成手法を構築した。
  キーワード 連続エリアカルトグラム、視覚化、三角網分割
     
地点間の方位角拘束を用いた時間地図作成問題の汎用解法 清水英範、井上 亮
  あらまし 時間地図とは、地点間の時間距離を地図上の距離によって表現する地図のことをいう。この作成手法に対する従来のアプローチは2つに分けられる。1つは、対象地点間全ての時間距離を再現しようとする方法で、一般に多次元尺度構成法(MDS)が適用される。もう1つは、対象地点を結ぶ連結ネットワークを考え、この辺に相当する地点間の時間距離のみを再現しようとする方法であるが、この方法に対しては、これまで数学的に明快な解法は提案されていない。本論文では、時間地図作成問題を非線形最小二乗問題で表現し、これをベースに上記の2つのアプローチの双方に適用可能な数学的に明快かつ実用性の高い汎用解法を提案する。
  キーワード 時間地図、所要時間、視覚化
     
時間距離行列及びOD行列の視覚化 桝谷有三
  あらまし 本稿は、地点間の関係が行列として表現されている時間距離行列及びOD行列に対する視覚化手法についてそれぞれ考えた。行列の要素をすべて満足するように各地点を2次元空間上に再現することは不可能であるため、前者は非類似度行列として、後者は類似度行列として、それぞれの特性を踏まえた視覚化手法について考えた。視覚化手法としては、幾何学的手法、クラスター分析及びグラフ理論を基礎としたアルゴリズムを考えた。そして、北海道の高規格幹線道路網、札幌市の通勤交通及び北海道の自動車交通を対象に実証的分析を示した。
  キーワード 視覚化手法、時間距離行列、OD行列
     
デフォルメ地図の自動生成手法とその適用システム
山守一徳
  あらまし 店案内によく使われるデフォルメ地図を自動生成する3つの手法について述べる。基本的には、道路の2次元的な繋がりを維持したまま直線化や水平垂直化の変形を行う手法であり、線分を選択しつつ逐次的に変形する方法とすべての線分を徐々に並列的に変形させる方法とがある。それら道路に対する手法を鉄道の路線図に対して応用した手法についても紹介し、さらに、電子地図データを用いて任意の地点のデフォルメ地図を出力するシステムへの取組みについても述べる。
  キーワード 略地図、デフォルメ、電子地図、自動生成、GIS
     
都市間非対称流動データの視覚化 大保和子、善家大輔、山本芳嗣
  あらまし 都市間の非対称流動データとは、同一都市内での流動量が都市規模によって大きく異なり、また、ある都市から他のある都市へ流動量がその逆方向の流動量とは異なるようなデータのことである。都市を3次元空間に布置することによってこのようなデータの構造を視覚化する方法をいくつか提案する。データとして茨城県85市町村間の通勤通学者数を取り上げ、提案した方法によって求めた市町村の3次元布置を報告する。また、得られる布置が市町村の地理座標を反映するように加えたいくつかの工夫と試行錯誤にも触れる。
  キーワード 非対称流動データ、多次元尺度法、重力モデル、通勤通学者数データ
     
大学入学人口移動空間の視覚化 古藤 浩
  あらまし 大学入学による都道府県単位の人口移動データから、視覚化技術を用いて地域構造を示す方法を提案し、実際にその構造を議論する。本研究では、分析の枠組みとして冪型ハフモデルを導入し、2種類の未知数の与え方で推定を行い段階的に分析する。最初の段階ではハフモデルで重要となる「地域の魅力」を検討し、次の段階で時間地図等の作成時に使われる考え方を応用して、大学入学による人口移動空間を仮想地図(変形地図)によって視覚化する。そして、仮想地図の時系列的な変遷を考察する。なお、ここでは内々移動のデータの扱いも重視して考察を進めるところにも特徴がある。
  キーワード ハフモデル、大学入学、視覚化、最尤法