Naval Architectureからサービスサイエンスヘ
−アーキテクチュアル・イノベーションを目指して−

宮田秀明、武市祥司
  あらまし 長年にわたってアーキテクチュアルな工学である船舶工学の研究開発に携った経験が、経営科学やサービスサイエンスの一つの方法の開拓に役立った事例を紹介する。船舶工学のうち、流体力学のコンピュータサイエンスや新システム開発やプロジェクト経営を実践してみると、経営との共通点が多いことに気が付いた。サービス業を改革することにも経営することにもシステム工学的な発想が有効である。経営の問題が非線形問題であること、離散的な取扱いや時間発展シミュレーションが有用であることを説明し、いくつかの具体例を紹介する。
  キーワード シミュレーション、離散モデル、時間発展、船舶工学、経営科学
     
大学におけるサービス・サイエンスの研究と教育
−最適化から仕組みの構築へ−
高木英明
  あらまし サービスの科学的・工学的研究を意味するサービス・サイエンスとサービスにおけるイノベーションについて、大学が貢献できる研究と教育を論じ、筑波大学での計画・事例を紹介する。特に、サービス・マネジメントの科学的研究、数理科学の応用、統計科学の応用、顧客志向のビジネス・イノベーション、健康サービスに係る大学発ベンチャーの事例について述べる。
  キーワード サービス・サイエンス、ビジネス・イノベーション、研究と教育
     
サービス・製品・技術イノベーションを融合・創出・俯瞰する
統合型戦略ロードマッピング−サービス・サイエンスの深耕と
次世代MOT:ジャストインタイム・イノベーションへの挑戦−
亀岡秋男
  あらまし 産業競争力の源泉はイノベーションの創出にある。イノベーション・モデルは今や、インクリメンタル・イノベーションから、ラディカル・イノベーションへ、モノ中心のプロダクト・イノベーションから付加価値の高いサービス・イノベーションへとパラダイム転換している。製造業を中核とする日本企業は、モノ周辺のサービス分野も取り込み付加価値を高める戦略が必要である。新サービス・イノベーションの基盤となる“サービス・サイエンス”への期待も高い。ここに「統合型戦略ロードマッピング」を開発導入し、次世代MOTの戦略目標「ジャストインタイム・イノベーション」への挑戦を提案したい。
  キーワード サービス・イノベーション、サービス・サイエンス、技術ロードマップ、戦略ロードマッピング、統合型戦略ロードマッピング、技術戦略マップ
     
オンデマンド・バス
−公共サービスに於けるイノベーション−
大和裕幸、稗方和夫、坪内孝太
  あらまし 利用者の要求に合わせて運行するオンデマンドバスは新しい公共交通サービスとして期待されているものの、成功例はほとんどない。日本各地で運行されているが、その多くが赤字運営で地域の助成無しでは運行できない。本稿では現行のオンデマンドバスの調査から、時間的制約のある利用目的に対応できていないという問題点を指摘する。さらに、その問題点を解決する新しいアルゴリズムを用いた実用的なオンデマンドバスシステムを提案する。提案したシステムを構築し、千葉県柏市北部において実証実験を行い、乗客のアンケート結果からその有効性を示す。それにより、提案する新しいオンデマンドバスサービスが、個を対象にした公共マストランジットという新しい概念の交通手段となりうる可能性について述べる。
  キーワード オンデマンドバス、DAPTW、個別適合、公共サービス、アルゴリズム
     
サービス・プロジェクトの成功条件を探る
−要求仕様書記述状況の分析−
板倉真由美
  あらまし サービス・ビジネスはさまざまな産業・業界の中心に位置付けられている。IT産業も同様であり、多くのITベンダがサービス・ビジネスを事業の柱としつつある。ITサービスにおいては、顧客の業務ソフトウェアがプロジェクトの形態で開発されているが、プロジェクトの遅れや稼動後のトラブルなどを低減し、成功率を高めることが重要な課題である。本研究ではソフトウェア開発を題材に要求定義の成果物を分析し、最終的なプロジェクト成果との関連を探った。その結果、成否を左右する項目として“目的”が挙がった。この項目はITに限らずサービス・ビジネスに対して普遍的な意味を持つものである。
  キーワード サービス、要求定義、プロジェクト