企業で学んだORと現場での適用の難しさ 粕谷博宣
  あらまし 在学時代にひとしきりOR手法を学んできたが、企業で業務を遂行するにあたり充分な知識を身につけているという認識が無く、実際に通用するのか不安であった。しかし、ものごとのアプローチはほとんどが共通で、手法にとらわれず、問題構造の追求・モデル化が重要であることに気付いた。思い切ったモデル化、それに至るまでの問題のメカニズムの解明、問題点の抽出は、実務の世界では一筋縄でいかない場合もあり、事例を元に体験談を交え実務へのORの適用の難しさについて紹介する。
  キーワード 生産管理、モデル化、TOC理論
     
コーポレート管理分野におけるOR手法の活用 辺見和晃
  あらまし 本稿では、企業における事業評価や投資評価、リスク管理、ポートフォリオ管理などといったコーポレート管理分野におけるOR手法活用の実情を紹介する。90年代後半から大幅に変化を遂げているコーポレート管理の現状に触れ、その中での二つの具体的なOR手法の活用例「研究開発ポートフォリオの最適化」および「モンテカルロ・シミュレーションによる事業評価」について解説を行うとともに、そこでの数理的手法の役割についても述べる。
  キーワード コーポレート管理、整数計画法、DCF法、モンテカルロ・シミュレーション
     
現実配送計画問題への多目的最適化手法の応用 中尾芳隆
  あらまし 配送計画問題(Vehicle Routing Problem)の研究の歴史は長く、これまで多くの研究者により様々なアルゴリズムが提案されている。またそれらの応用事例も多く報告されている。現実問題への適用においては、現実世界の多目的性をどのように扱うかがしばしば課題となる。配送計画に限らず、現実世界の最適化問題では多目的のトレードオフ制御が重要であり、目的関数の線形和最小化だけではユーザの要求を満たせないことは多い。本稿では、多目的の現実配送計画問題に対し配送計画アルゴリズムに多目的手法を組合せることにより、実用的な解を得た事例を紹介する。
  キーワード 配送計画、多目的最適化、メタヒューリスティクス、現実問題
     
地方公共団体におけるOR
−事業評価から政策評価の構築へ−
川畑卓也
  あらまし 筆者の経験をもとに、奈良県庁におけるORの適用事例のうち、活用している例とそうでない例とをあげて、その内容を概観する。それぞれの理由、要因を考察したあと、地方公共団体に求められている政策形成能力の向上にORが大きく寄与できる可能性について論じる。
  キーワード 地方公共団体、公共政策、事業実施、政策形成、政策評価
     
多目的スケジューリング法の活用検討 鬼頭繁彦
  あらまし 大学で学んだ多目的スケジューリング法について、大学での研究概要ならびに現在従事している生産技術分野に適用する場合の考え方について述べる。必要なモノを必要な時に必要なだけ適切にというジャストインタイム(JIT)の考え方を達成するためには、生産工程における納期と余剰在庫を最少にする生産スケジュールが必要となる。つまり、多目的スケジューリング問題を効率よく解く必要があり、学んだOR手法が生かせるのではないかと考える。
  キーワード 多目的スケジューリング問題、生産計画、メタヒューリスティックス、遺伝的アルゴリズム、数理計画法、多品種少量生産、トヨタ生産方式、ジャストインタイム
     
鉄道システム開発におけるORの適用と課題 高橋 理
  あらまし ユビキタス技術の発展により鉄道システム開発分野におけるシステム化領域も拡大しつつあるが、その多くは従来人間が機械的にやっていた作業を計算機で置き換えるものであり、人間が考える作業のシステム化はまだ始まったばかりである。本稿では、この「人間が考える作業のシステム化」に関するORの適用事例として、乗務員運用計画の変更案を組合せ問題として定式化したうえでメタ戦略を用いて作成するケースと、列車運行管理システムの開発工程における改善の必要性をAHPによって定量評価するケースを紹介するとともに、その実用化や普及にあたっての課題について述べる。
  キーワード 乗務員運用計画、スケジューリング、ソフトウェア開発プロセス、AHP
     
中等教育とOR 成川康男
  あらまし 学校運営、数学教育、教員の個人研究について、OR(オペレーションズリサーチ)を念頭において紹介していく。学校運営に関しては大学で学んだORと実際とのギャップを、数学教育に関しては大学でORを教える前準備に必要な基本としての事柄や時期について述べる。さらに大学等の研究機関に属していないものがORに関連した事柄を個人で研究することの意義と困難について述べる。
  キーワード 中等教育、意思決定、数学教育、研究と教育
     
実践らくらくOR−OR実践回想記− 相澤りえ子
  あらまし 筆者は大学を卒業して以来数十年間、業務としてORの実践に取り組んでいる。ORの実践といっても、学問として習った手法がそのまま適用できた訳ではない。しかし、学術界からみれば新規性がなくあまり価値がないものであっても、なんらかの結果が得られるということに、大変な意義があることも少なくない。世の中の問題解決に対してOR的アプローチが有効であることは常々実感しているところである。本稿では、さまざまな分野における筆者のORの活用経験と、米国でのORの活用状況について紹介する。
  キーワード オペレーションズ・リサーチ、シミュレーション、数理計画、モデリング