米国における軍事OR

Alan R. Washburn

  あらまし 米国におけるオペレーションズ・リサーチ(OR)の歴史を簡単に振り返った後、軍事ORに特有の3つのテーマ、損耗モデル、ゲーム理論、捜索理論について簡単に解説する。
  キーワード ORの歴史、ランチェスター・モデル、ゲーム理論、捜索理論
     
英国における防衛ORの概要 James Moffat, Alan Robinson,
Roger Forder, Noel Corrigan
  あらまし 英国OR学会にはDSIG(防衛研究部会)が設置され、米国軍事OR学会(MORS)との共催で毎年国際軍事ORシンポジウム(ISMOR)を開催するほか、専門書の出版なども計画している。英国防省においては1965年に防衛作戦分析機構(DOAE)が設立され、後に英国防衛科学技術研究所(DSTL)となったが、ここを中心に英軍全体を対象とした防衛政策の企画・立案と分析にORが活用されている。現在、この部署には400名のOR分析要員が配置されている。産業界にも装備、コンサルタント関係などに防衛OR関係者がおり、国防省とこれら防衛関連企業はNITEworksという組織を作り、防衛OR実施のために連携している。今後の課題として、冷戦の終結により大規模な戦争の可能性は小さくなったが、技術の発展や情報化により防衛を巡る環境は複雑化しているので、それに対処するためにORの分析能力にもいっそうの向上が求められる。
  キーワード 防衛OR、DSIG(英国OR学会防衛研究部会)、DSTL(英国防衛科学技術研究所)、NITEworks
     
我が国の鉄道重大事故と
  自然災害データに基づく安全性の考察
大山達雄、三和雅史
  あらまし 鉄道は他の輸送手段に比べて安全性において優れているとされているが、まれに発生する大事故が与える社会的不安、損失は極めて大きいことから、安全な輸送を安定して確保するための安全性向上戦略を科学的に検証し、効率的な安全性向上策を検討することは重要である。一方、多くの死傷者をもたらす自然災害についても、その発生及び被害データを統計的な観点から眺め、科学的に考察した上で安全性の向上に結びつけることも重要である。本稿では、我が国において発生した鉄道重大事故と自然災害に関する統計データ解析を実施し、発生傾向、原因、被害状況を把握した上で、有効な安全性向上策を検討する。
  キーワード 鉄道重大事故、自然災害、安全性、統計データ解析
     
防衛省におけるOR活動と研究事例
片山隆仁、増田拓也
  あらまし 防衛省におけるOR活動の概要を紹介し、併せて研究事例を掲載する。具体的には「UAVによる目標位置標定の精度向上に関する研究」と題して、UAV撮影画像を用いて目標位置の標定精度を向上させる方法を紹介する。これは、撮影時の機体の緯度経度、3次元的な傾き、撮影高度を用いて純幾何学的に目標位置を推定するものであり、それ以外のなんら特殊な機能を必要としないので汎用性が高い。この方法を、参考品として購入した民生品のUAVに適用し、標定精度の向上を実際に確認する。また、実験結果から標定誤差の要因分析を実施し、その結果を運用に反映する。
  キーワード 防衛力整備、部隊運用、OR組織、ORの実施、データ解析、UAV
     
不審船対処のOR分析
宝崎隆祐、小宮 享
  あらまし 海上保安庁のホームページには、不審船は、「薬物の密輸入、不法入出国等の重大犯罪に関与している疑いのある犯罪共用船舶であると考えられる」とある。ここでは、不審船の中でも経済原理に従って行動するであろう密輸船ないしは非武装不審船に焦点を当て、3つのレベルの意思決定問題を取り上げる。すなわち、密輸組織と取締機関との密輸取締ゲームおよび不審船発見のための捜索ゲーム、さらには発見した不審船を実際に捕獲するための強制停船用阻止策の使用問題である。
  キーワード 密輸取締ゲーム、捜索ゲーム、最適制御