インターネット性能解析手法に関する幾つかの話題 塩田茂雄
  あらまし インターネットのモデリングや性能解析手法に関する比較的最近の話題の中から、教科書的なOR手法が必ずしも使われているわけではないが、OR的な考え方が有効と思われるテーマを、今後の課題も含めて紹介する。
  キーワード フィードバック、Network Calculus、トラフィックの粗視化、PASTA、次数分布
     
ネットワークトモグラフィー技術の研究動向 鶴 正人
  あらまし 社会や経済のインフラになったインターネットでは、品質や信頼性を維持するためのネットワーク管理が不可欠である。しかし、大規模性・多様性・管理の分散性に起因して、様々なネットワーク状態・特性の直接的な把握は容易ではなく、それらを間接的・部分的な計測から推定する技術が必要である。その中でもネットワークトモグラフィーと呼ばれる技術の概要と研究動向を紹介する。ネットワークを横断する複数のパスに沿った通信の挙動の計測から内部の局所的状態を推定し、また、ネットワーク内部の複数箇所での通過通信量の計測からネットワークを横断する大域的な通信流量を推定できる。
  キーワード インターネット、ネットワーク計測、統計的推定、ネットワークトモグラフィー
     
サンプルパケット情報を用いたトラヒック測定分析手法 川原亮一、森 達哉
滝根哲哉、浅野正一郎
  あらまし インターネット上においてネットワークリソースの浪費や品質劣化を引き起こす異常トラヒックをトラヒック測定を通じて検知・制御する技術は、安心で快適な通信サービスを提供するために不可欠となっている。一方、ネットワークの大規模化・高速化に伴い、パケットサンプリングによる測定が注目されている。本稿では、サンプルパケット情報から異常トラヒックを検出するためのトラヒック測定分析手法について、関連研究動向の紹介を交えながら筆者らの研究内容について紹介する。また、各手法の実データ評価結果も示す。
  キーワード パケットサンプリング、トラヒック、測定分析
     
再試行を含む通信システムのための
  準静的な安定性評価法
会田雅樹、高野知佐
村田正幸、今瀬 真
  あらまし 通信システムは一般に、実際のデータ転送を担う転送系と、それをサポートする制御系の組み合わせで構成される。インターネットでは、転送系リソースの輻輳だけでなく、制御系リソースの輻輳が問題となってきている。特に、ユーザによる再試行動作が制御系の性能に与える影響は大きく、通信システムの安定的な運用を脅かすようになってきている。このため再試行を含む通信システムを安定運用するための技術が求められている。本稿では、再試行をユーザとシステムの相互作用として捉え、両者の動作速度に大きな違いがあることを利用してシステムの安定性を評価するための準静的な分析法について述べる。
  キーワード 再試行、安定性、準静的アプローチ
     
Markovian Arrival Process と暗号通信 豊泉 洋
  あらまし M/M/∞待ち行列のダイナミックスに従う位相変化を持つBMAP/M/1待ち行列の待ち時間を解析し、グループでの暗号通信のセキュリティを評価する。M/M/1待ち行列、MAP/M/1待ち行列との対比を行いながら、BMAP/M/1待ち行列の系内客数の上下限を、通常用いられる行列の反復計算を用いずに求める方法を示す。
  キーワード 待ち行列、Markovian Arrival Process(MAP)、暗号通信、セキュリティ