| 線形計画問題:物資の輸送を礼として | 池辺淑子 |
| あらまし | いくつかの1次等式や不等式の制約の下、1次関数を最適化する線形計画問題は数理計画におけるもっとも基本的な問題である。本稿ではものの輸送を取り上げ、輸送費用を最小化する問題が線形計画問題として定式化される過程や線形計画の基本的な性質を初学者向けに紹介する。 | |
| キーワード | 数理計画、線形計画、輸送問題、最小費用流問題 | |
| 発見的解法:収集/配送経路問題への適用 |
沼田一道 |
| あらまし | 順序や組合せを決定する最適化問題においては、厳密な最適解を見出すのが困難なことが多い。このような場合に活躍するのが発見的解法である。できるだけ良い解を現実的な時間内に求める発見的解法は、個々の問題に柔軟に対応できるので、極めて実用的である。本稿では、訪問点の組分けと各組の巡回を同時に最適化する収集/配送経路問題(VRP)に即して発見的解法を紹介し、ポストから郵便物を収集する際の問題を扱ってみる。 | |
| キーワード | 発見的解法、配送経路問題、巡回セールスマン問題、局所探索 | |
最適配置の理論:都市施設の場所について |
大津 晶 |
| あらまし | 「都市のOR」は、OR手法の都市計画への応用、もしくは地域的課題に対するOR的アプローチを大括りにした分野である。その中で都市施設の配置に関する理論は、長年の研究によって理論的体系がかたち作られると同時に、現実社会の諸現象を考現学的に説明する柔軟さも持っていて、なかなかに裾野が広い。ORの他の分野と比べ題材が身近であって敷居が高くなく、加えて最適化理論から応用事例まで幅広く学ぶことができるという意味で、初学者にお勧めしやすい領域でもある。馴染みのない読者には、本稿で紹介する最適配置理論の初歩的事例で「空間的要素と最適化」および「最適性の社会的意義」という都市のORの勘所を感じていただきたい。 | |
| キーワード | 施設配置、社会的最適配置、競争的均衡立地 | |
| グラフ・ネットワーク・OR |
根本俊男 |
| あらまし | オペレーションズ・リサーチで利用される代表的な手法のひとつであるグラフ論・ネットワーク計画、そして、組合せ最適化の技術を利用した問題解決へのアプローチ方法を枝巡回路問題を用いて紹介し、オペレーションズ・リサーチが持つ有用性を専門的な知識を持たない初学者向けに伝えたい。 | |
| キーワード | グラフ論、ネットワーク計画、組合せ最適化、最短路、枝巡回路 | |
| 固定費を有する確率計画問題の電源計画への応用 |
椎名孝之 |
| あらまし | 確率計画法においては、制約侵犯への罰金(リコース関数)を含む費用の期待値を最小化するという2段階決定モデルがある。決定変数に整数条件を有するとき、罰金を表すリコース関数は、非凸関数になるため従来L-shaped法を用いることはできない。本稿では電源計画への応用を考慮して、第2段階の決定変数が正の値をとる場合に罰金を要する確率計画問題取り扱い、分枝カット法による解法を示す。 | |
| キーワード | 確率計画法、分枝カット法、電源計画 | |
| マルコフ連鎖の極限推移確率とWebリンク解析 | 岡村寛之 |
| あらまし | マルコフ連鎖の推移確率に関する極限定理および関連する極限分布と定常分布の関係はマルコフ連鎖において非常に重要である。それ故、マルコフ連鎖を扱う教科書では必ずと言って良いほど、定常分布や極限分布の導出に対する例題がある。ここでは、マルコフ連鎖の極限確率に関する例題を示した後に、Webリンク解析として知られているPageRankアルゴリズムが本質的に教科書に記されている定常確率に関する例題との同様な解析であることを紹介する。 | |
| キーワード | 離散時間マルコフ連鎖、極限確率、定常確率、PageRank | |
| 待ち行列理論の応用:コールセンターを例に |
河西憲一 |
| あらまし | 待ち行列理論はその名が示すように日常生活で経験する待ち行列についてなにがしの実益に即した知恵を授けてくれるような期待感を持たせてくれる。一方で待ち行列理論は、混雑現象一般を数理の立場から解明することを指向した応用数学あるいは応用確率論として捉えることもでき、数学的にも洗練されたその内容を理解するためにはやや障壁が高い感があるのも否めないのではないだろうか。誕生からおよそ100年が経過した現在でもその理論の奥の深さを伝えてくれるが、本稿では待ち行列理論が誕生した頃に回帰して、初期の成果が現代的なシステムにどのように生かされているかについて紹介する。またその有効性についても検討する。 | |
| キーワード | 待ち行列理論、コールセンター、ポアソン過程、指数分布、定常解析 | |
シミュレーションによる不確実性下の事業投資評価 |
辺見和晃 |
| あらまし | 100年近くも前に考案されたモンテカルロ・シミュレーションは元々物理学で用いられた手法であったが、その後、金融、品質管理、経営判断など様々なビジネス分野にも応用されてきた。特にオフィスにコンピュータが普及した今日では、確率分布を含む計算を極めて手軽に行えることから、ビジネス上の確率を伴った事象である“リスク”の計量に一役買っている。本稿では、商社をはじめとする多くの国内企業において行われている、モンテカルロ・シミュレーションを用いた不確実性下の事業投資評価について紹介する。 | |
| キーワード | モンテカルロ・シミュレーション、確率分布、リスク、事業投資 | |
| ゲーム理論を用いたねじれ国会分析:投票力指数で影響力を測る |
福田恵美子 |
| あらまし | ゲーム理論には様々なモデルがあり、応用範囲も多岐にわたっている。その中でも本稿では、身近でありつつ詳細なデータが手に入る事例として国会議席を取り上げ、投票ゲーム、および投票力指数を用いた分析を紹介する。具体的には、1989年、そして2007年の参議院選挙後の議席数のデータを対象に、投票力指数を用いて、ねじれ国会の深刻度や、連立によりねじれが解消されるメカニズムを考察していく。 | |
| キーワード | ゲーム理論、投票ゲーム、投票力指数、ねじれ国会、提携構造 | |
| DEAを用いたプロ野球の投手の評価 |
廣津信義、上田 徹 |
| あらまし | 本稿ではプロ野球の投手の評価を例としてDEAについて概説する。最も簡単な1入力1出力についてCCRモデルとBCCモデルの違いを説明した後、4入力2出力のBCCモデルを用いて投手の多角的な評価を行う。DEAを用いた分析の仕方を身近な野球の事例を通して紹介することで、DEAの有用性を直観していただければ幸いである。 | |
| キーワード | BCCモデル、DEA、スポーツ、投手、プロ野球 | |