ライフサイクルアセスメント(LCA)の概要 成田暢彦
  あらまし 企業の環境経営手法の一つとして、環境マネジメントシステムが適用され、その結果は環境報告書などで広報されている。それに加え、自社製品の環境に及ぼす影響や環境負荷削減の効果も様々な媒体をとおして、アピールされている。ここでは、環境経営を推進し、環境経営指標を構築するためのツールである「ライフサイクルアセスメント(LCA)」の概要をまとめる。
  キーワード LCA、ISO、データベース
     

製品ライフサイクルに注目した環境評価の特徴と実施手順

伊坪徳宏
  あらまし 製品やサービスのライフサイクルを通じた環境負荷や環境影響の定量的情報を提示するLCAは、さまざまな環境指標や評価手法の拠り所となりつつある。LCAでは環境負荷量を算定するインベントリ分析をもとに、多様な環境への影響量を総合的に評価するインパクト評価によって統合指標値を算出する。インパクト評価は影響領域の選定からはじまり、分類化、特性化、正規化、重み付けによる統合化といった複数の段階で構成される。本稿では、日本における人間健康や生物多様性等への被害量を算定し重み付け係数を決定する被害算定型の評価手法であるLIMEについて、その考え方を中心に紹介する。
  キーワード 環境影響総合指標、重みづけ、被害算定
     
素材メーカの立場から見たLCA 中橋順一
  あらまし 化学産業は、エネルギー多消費型産業であり温室効果ガス(GHG)も多く排出する。このことだけで、化学産業は地球温暖化問題においてよくない産業といえるのだろうか。化学製品の中には、それがなかったと仮定した場合に使用されるであろう代替製品と比較して、使用段階で、大きな省エネルギー効果を発揮する製品や、再生可能エネルギーの生産に必要不可欠な製品などがある。このような疑問を解消するため、製品のライフサイクル全体から排出されるGHGを代替製品との比較で評価する手法(LCA視点でのCO2削減貢献量評価)を使って、化学製品を評価し、化学産業が、むしろ、地球温暖化対策にとってなくてはならない産業であることを示した。
  キーワード LCA、Life Cycle Assessment、CO2、温室効果ガス、GHG、化学
     
進化するLCA:問題を発見し解決する手法へ 本藤祐樹
  あらまし 現代の環境問題に取り組むアプローチとしてライフサイクルアセスメント(LCA)が注目されている。LCAとは、製品の製造、使用、廃棄というライフサイクルを通して、その環境特性を総合的に評価する手法である。LCAは、特に消費者が環境性能を考慮して製品を選択する際に、その個人的意思決定の支援を期待され発展してきた。それに対し、本稿では、LCAの真価は集団的意思決定の支援においても発揮されることを述べている。将来のLCAに求められるのは、個人の意思決定に資する製品単体の評価手法から、製品が社会にもたらす問題点を明らかにしその解決に寄与することを志向する分析手法への進化である。
  キーワード 意思決定、システム分析、持続可能性、トレードオフ、ライフサイクル思考
     
LCAで専門家と非専門家をつなぐための試論 柴田 清
  あらまし 環境問題は不確実性を含む複雑なシステムを扱う問題であり、それを解きほぐそうとするのがライフ・サイクル・アセスメント(LCA)の意義でもある。しかし、その複雑さのためにLCAは専門家のためだけのものになってしまっているかもしれない。LCAの情報を受け取った一般市民がそれを有効に利用し、また一般市民の反応をLCAの実施者が的確に生かしていくためにはどうしたらよいか。本稿では技術とその影響に関する関係者間のコミュニケーション問題として、ライフ・サイクル・アセスメントの有する重要性と課題について議論する。
  キーワード テクノロジー・アセスメント、コミュニケーション、環境