《AHPの理論的解釈》

出典: ORWiki

【AHPのりろんてきかいしゃく (logical interpretation of AHP) 】

 AHPの特徴の1つとして、一対比較行列から導出する重要度ベクトルを一対比較行列の主固有ベクトルで与える点が挙げられる。この解析法を 固有ベクトル法 (eigenvector method)と呼び、Saatyは重要度導出法として推奨している。固有ベクトル法はPerron-Frobenius定理 (Perron-Frobenius Theorem)を用いて意味付けられる [1]。具体的には、グループ内での相互評価による人事評価の例で説明する。各メンバi\,は自己評価を行い、その値をw_i\,とする。与えられた一対比較行列[a_{ij}]\,の下、メンバi\,の価値に対する他者j\not=i\,の価値の比率a_{ij}\,に他者の自己評価w_j\,を加味したa_{ij}w_j\,の総和\textstyle \sum_{j\not=i}a_{ij}w_j\,をメンバi\,の外部評価とする。メンバi\,の自己評価w_i\,と外部評価\textstyle \sum_{j\not=i}a_{ij}w_j\,の比(過剰評価率)がメンバ全員分だけ得られる。一般に、各自己評価w_i\,の下では、グループ内の過剰評価率はばらつく。できるだけこのばらつきを最小にするように各メンバが各自の自己評価を調整した値が固有ベクトル法の重要度である。そして、固有ベクトル法ではこれらの過剰評価率がグループ内で一致し、過剰評価率のグループ内格差は無い。このような均衡状態を求めることが一対比較行列に対する固有ベクトル法の意味であり、この均衡状態の存在と一意性がPerron-Frobenius定理で保証されるのである。



参考文献

[1] K. Sekitani and N. Yamaki, "A Logical Interpretation for the eigenvalue method in AHP," Journal of the Operations Research Society of Japan, 42 (1999), 219-232.